子どもが高熱を出したとき — 受診の目安とホームケア
医療解説

子どもが高熱を出したとき — 受診の目安とホームケア

公開: 2026年6月30日 更新: 2026年7月13日

この記事のポイント

子どもの発熱はウイルスや細菌と戦う免疫反応で、生後3か月未満の38℃以上はすぐ受診し、それ以外は水分が取れて意識がはっきりしていれば自宅で様子を見られます。

  • 発熱は体がウイルスや細菌と戦っている正常な免疫反応。熱の高さだけでは重症度は決まらない
  • 3ヶ月未満の乳児が38℃以上 → 時間帯を問わずすぐに受診
  • 解熱剤は「熱を下げる薬」ではなく「つらさを和らげる薬」。元気なら使わなくてよい
  • 水分補給が最優先。食事は無理に取らなくてよい
  • おでこの冷却シートに解熱効果はほとんどない

広告表記本記事にはPR(アフィリエイト広告)を含みます。詳細は記事末尾をご覧ください。

📋 エビデンス

この記事の医学的内容は、日本小児科学会の公式情報および厚生労働省「子どもの救急」に基づいています。個別の医療判断については必ずかかりつけ医にご相談ください。

出典: ↗

夜中に子どもの体が熱い。体温計を当てると39℃を超えている。ぐずって泣いている——この状況で、多くの親が「今すぐ救急に行くべきか」「朝まで待てるのか」の判断に迷います。

外来でこの質問を受けない日はありません。「昨夜39.5℃出て、朝になったら下がったので来ました」という方もいれば、「40℃で怖くなって夜間救急に行きました」という方もいます。どちらも間違いではありません。ただ、ひとつだけ確かなことがあります。体温の数字だけでは、重症かどうかは決まりません。


年齢別の受診基準

発熱時の対応は、子どもの月齢・年齢によって異なります。

生後3ヶ月未満

38℃以上の発熱があれば、時間帯を問わずすぐに医療機関を受診してください1

この月齢では免疫機能が未熟であり、細菌感染症(敗血症・髄膜炎など)の可能性を除外する必要があります。見た目が元気そうに見えても、血液検査や尿検査が必要になることがあります。

生後3ヶ月〜3歳

38.5℃以上の発熱でも、以下の状態であれば翌朝の受診で問題ありません1

  • 水分が取れている(母乳・ミルク・お茶など)
  • 機嫌がそこまで悪くない(泣いても抱っこであやせる)
  • 呼吸が落ち着いている
  • 意識がはっきりしている(呼びかけに反応する)

逆に、以下があれば時間帯を問わず受診が必要です1

  • ぐったりして反応が鈍い
  • 水分を全く受け付けない
  • 呼吸が速い、ゼーゼー言う
  • けいれんが起きた
  • 発疹が急に広がっている
  • 3日以上発熱が続いている

3歳以上

3歳を過ぎると、子ども自身が「頭が痛い」「お腹が痛い」と言葉で伝えられるようになります。発熱に加えて訴える症状が受診のヒントになります。発熱のみで他に症状がない場合は、自宅で経過観察して問題ありません。


解熱剤の正しい使い方

使う目的を理解する

解熱剤は「熱を下げる」ための薬ではなく、発熱に伴うつらさ(頭痛、倦怠感、食欲低下、不眠)を和らげるための薬です。

発熱は体がウイルスや細菌と戦うための防御反応です。体温が上がることでウイルスの増殖が抑えられ、免疫細胞の働きが活発になります。解熱剤で無理に下げると、この防御反応を妨げる側面もあります。

39℃を超えていても元気に遊んでいるなら、使わなくて構いません。逆に、38.5℃でもぐったりして水分が取れない場合は使用を検討してください。

小児に使える解熱剤

小児に安全に使える解熱剤は、アセトアミノフェン(カロナール等)が基本です。イブプロフェン(ブルフェン等)も小児に使用できますが、かかりつけ医の指示に従ってください。

絶対に使ってはいけないのがアスピリン(アセチルサリチル酸)です。小児のウイルス感染時にアスピリンを使用すると、ライ症候群という重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。

投与間隔と注意点

  • アセトアミノフェンの投与間隔は4〜6時間以上空ける(1日3〜4回まで)
  • 1日の投与回数は原則3回まで
  • 坐薬と内服(シロップ・粉薬)を同時に使わない
  • 効果は投与後30分〜1時間で現れ、体温を1〜1.5℃下げる程度
  • 平熱まで下がらなくても、それで正常

水分補給のコツ

発熱中の子どもにとって、水分補給は食事よりも優先度が高いです1

何を飲ませるか

  • 母乳・ミルク(乳児はこれが最良)
  • 経口補水液(OS-1等)
  • 薄めたイオン飲料
  • お茶、水
  • 味噌汁の上澄み

スポーツドリンクは糖分が高いため、薄めて与えるか、経口補水液を選んでください。発熱・嘔吐で脱水が気になるときのために、経口補水液を常備しておくと安心です。

飲ませ方

一度にたくさん飲ませようとすると嘔吐することがあります。スプーン1杯(5ml)を5分おきに、という少量頻回が基本です。嘔吐がある場合は、吐いてから30分〜1時間待ってから再開します。

脱水の兆候

以下の兆候があれば、脱水が進んでいます。受診を検討してください。

  • おしっこの回数が明らかに減っている(6〜8時間以上出ていない)
  • 泣いても涙が出ない
  • 唇や口の中が乾いている
  • 皮膚をつまんで離しても戻りが遅い(ツルゴール低下)
  • ぐったりして反応が鈍い

冷やし方の誤解と実際

おでこの冷却シート

おでこに貼る冷却シートは、体温を下げる効果がほとんどありません。おでこの表面積は狭く、深部体温への影響は極めて小さいです。ひんやりして気持ちいいと子どもが感じるなら使っても構いませんが、解熱目的では意味がないと理解してください。

効果的な冷却部位

太い血管が皮膚の近くを走る場所を冷やすと、血液が冷えて全身の体温低下に寄与します。

  • 首の横(頸動脈)
  • 脇の下(腋窩動脈)
  • 足の付け根(鼠径部・大腿動脈)

保冷剤をタオルで包んで当てるか、濡れタオルを置いてあげてください。ただし、子どもが嫌がるなら無理にしなくて構いません。寒気がしている(震えている)ときは体が熱を作ろうとしている段階なので、冷やさずに温かくしてあげてください。

氷水の風呂に入れない

海外の古い情報で「冷水浴」が紹介されることがありますが、小児の発熱時に氷水や冷水の風呂に入れることは推奨されません。急激な体温変化はけいれんのリスクを高め、子どもに強いストレスを与えます。ぬるめのお湯で体を拭いてあげる程度で十分です。


食事はどうする?

発熱中は食欲が落ちるのが普通です。無理に食べさせる必要はありません。水分さえ取れていれば、1〜2日の食事量低下は問題になりません。

食べられそうなら、以下のような消化のよいものを少量ずつ与えてください。

  • おかゆ、うどん
  • ゼリー、プリン
  • バナナ、すりおろしりんご
  • ヨーグルト

よくある心配への回答

「熱が上がったり下がったりするのは悪化しているサインですか?」

ウイルス感染症の発熱は、朝方に下がって夕方から夜にかけて上がるパターンが典型的です。これは体内の体温調節リズムによるもので、悪化のサインではありません。3日以上このパターンが続く場合は受診してください。

「解熱剤が効いている間に元気になるから大丈夫ですよね?」

解熱剤が効いている間に一時的に元気になるのは普通です。これは病気が治ったわけではなく、つらさが和らいでいるだけです。薬が切れればまた熱が上がります。元気になったからといって外出や入浴を急がないでください。

「高熱で脳に障害が出ることはありますか?」

感染症に伴う発熱(41℃未満)で脳に障害が残ることは、通常ありません。脳に影響が出るのは、熱中症のように外部から体温が上昇して42℃以上になる場合や、脳炎・髄膜炎といった脳そのものの感染症の場合です。「高熱=脳がやられる」は誤解です。


おわりに

夜中の発熱は、親にとって不安な時間です。でも、判断基準はシンプルです。

  • 3ヶ月未満の38℃以上 → すぐ受診
  • それ以上の年齢 → 水分が取れて意識がはっきりしていれば朝まで様子見可能
  • 解熱剤は「つらさを和らげる薬」。元気なら使わなくてよい
  • 水分補給が最優先。少量頻回で

迷ったら、夜間の小児救急電話相談(#8000)に電話してください2。看護師や小児科医が対応してくれます。


広告表記当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています。商品・サービスの紹介にあたり、広告主から報酬を受け取る場合がありますが、記事内容や評価には一切影響しません。
👨‍⚕️

医師確認済み

ラボの小児科医(小児科専門医・アレルギー専門医)が「医学的正確性の検証」を確認 (2026/6/30)

参考資料

あわせて読みたい

参考文献

  1. 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」 https://www.kodomo-qq.jp/ 2 3 4

  2. 厚生労働省「子どもの救急」ポータル https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

この記事をシェア

LINE ポスト
👨‍⚕️

医師確認済み

ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「医学的正確性の検証」を確認 (2026/6/30)

関連記事

ラボの小児科医

ラボの小児科医

小児科専門医・アレルギー専門医

日本小児科学会 小児科専門医 日本アレルギー学会 アレルギー専門医

専門領域

小児一般診療 アレルギー疾患(食物・アトピー・気管支喘息) 皮膚疾患 発達相談

「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」

小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています。詳しくは広告についてをご覧ください。