溶連菌感染症とは?症状・抗菌薬・登園の目安を小児科医が解説|自己判断で薬をやめない理由
医療解説

溶連菌感染症とは?症状・抗菌薬・登園の目安を小児科医が解説|自己判断で薬をやめない理由

公開: 2026年7月11日 更新: 2026年7月11日

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「高い熱が出て、のどをすごく痛がる。でも、せきや鼻水はあまりない」。こう聞くと、外来では溶連菌を思い浮かべます。口を開けてもらうと、のどが真っ赤で、舌がイチゴのようにブツブツしている——溶連菌感染症の典型的なサインです。

溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌という細菌によるのどの感染症です。多くの子どものかぜはウイルスが原因で抗菌薬が効きませんが、溶連菌は細菌なので抗菌薬がよく効きます。ただし、この病気には「症状が消えても薬を飲みきる」という、ほかの感染症とは違う大切なルールがあります。この記事では、症状の特徴、治療の考え方、登園の目安、そして家庭での注意点を整理します。

結論:よく効く薬を「最後まで飲みきる」

先に、この病気でいちばん大切なことをお伝えします。

  • 溶連菌は細菌の感染症で、抗菌薬がよく効きます
  • 飲みはじめると1〜2日で症状は良くなりますが、処方された日数を最後まで飲みきることが必須です
  • 自己判断で中断するとリウマチ熱のリスクが残ります(急性糸球体腎炎は抗菌薬と無関係に起こることがあり、回復後の経過観察が大切です)

つまり、「早く治る薬をもらったから安心」ではなく、「良くなっても飲みきる」までがワンセットの病気です。順に見ていきます。

どんな病気?——症状の特徴

溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌が起こす咽頭炎です。感染してから2〜5日の潜伏期間のあと、突然の発熱とのどの痛みで発症し、全身のだるさや嘔吐を伴うこともあります1。かかりやすいのは幼児から学童で、乳児は比較的まれです2

かぜとの違いは、まず発症のしかたに出ます。突然の高熱とのどの強い痛みで始まる一方、かぜに多いせき・鼻水は目立ちません。診察では、次のようなサインも手がかりになります。

  • のどが真っ赤で、扁桃に白い膿がつくことがある
  • 舌の表面がイチゴのようにブツブツする(イチゴ舌)
  • 体や首、わきなどに、細かくてざらざらした発疹(猩紅熱)1

ただし、これらがすべてそろうわけではありません。確定診断は、のどの粘液を綿棒でとる迅速抗原検査で行います。数分で結果が出るため、疑わしいときは検査を受けることが、適切な治療への近道です。後輩から「見た目で溶連菌と決めていいですか」と聞かれることがありますが、迷う例は多く、最後は検査に頼ります、と答えています。

治療——抗菌薬を「飲みきる」ことが核心

溶連菌の治療は、ペニシリン系などの抗菌薬が第一選択です1。飲みはじめると、多くは1〜2日で熱が下がり、のどの痛みも和らぎます。ここで油断しやすいのが、この病気の落とし穴です。

症状が消えても、体の中の菌は完全には退治できていません。処方された日数(多くは10日前後)を最後まで飲みきる。そうしてはじめて菌をしっかり除去でき、合併症のリスクを下げられます。症状は1〜2日で軽くなっても、菌を除ききるにはこの日数が必要だと考えてください。「元気になったからもういいだろう」と自己判断でやめてしまうと、菌が生き残り、再発や、次に説明する合併症につながることがあります。

わが家でも上の子が溶連菌にかかりました。数日で症状が落ち着き、「もう飲まなくていいのでは」と迷ったものです。それでも10日間きっちり飲みきったのは、この合併症のことを知っていたからです。飲ませ忘れが続くと効果が落ちるので、食事とセットにするなど、飲み忘れない工夫をおすすめします。

のどの痛みで水分がとりにくいときは、脱水に注意してください。しみにくい経口補水液や麦茶を、少量ずつこまめに飲ませてあげましょう。

なぜ飲みきるのか——合併症のこと

抗菌薬を飲みきる理由は、まれですが重い合併症を防ぐためです。溶連菌の感染後、1〜数週間たってから起こることがある合併症に、次のものがあります1

  • リウマチ熱(心臓の弁や関節に炎症が起こることがある)
  • 急性糸球体腎炎(腎臓の炎症。むくみや血尿、尿の減少などで気づかれる)

このうちリウマチ熱は、抗菌薬で菌をしっかり除去することで、発症リスクを大きく下げられることがわかっています。だからこそ、症状が消えても飲みきることが大切です。

一方、急性糸球体腎炎は、溶連菌に対する体の免疫反応によって起こるため、抗菌薬を飲んでも必ず防げるわけではありません。だからこそ、回復後の数週間は、むくみ・血尿・尿量の減少などのサインに気をつけ、あれば受診することが大切です。

短期間に何度も溶連菌にかかる子もいます。のどに菌を保有している家族(保菌者)がいて、家庭内できょうだい間などにうつし合う「ピンポン感染」が背景にあることがあります。繰り返す場合は、家族の検査や治療も含めて主治医に相談してください。

なお、感染から数週間のあいだに、まぶたのむくみ・血尿・尿量の減少・急な体重増加などがあれば、腎炎のサインかもしれません。その場合は受診してください。飲みきっていれば過度に心配する必要はありませんが、頭の片隅に置いておくと安心です。

受診とホームケアの目安

すでにのどの痛みと高熱があるなら、まずは検査のために受診するのが基本です。診断がついて抗菌薬を飲みはじめたあとは、家庭でのケアが中心になります。

つらい発熱には、子ども用の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使ってかまいません。使う目安は熱の数字より本人のつらさで、用法・用量は主治医や薬剤師の指示に従ってください。

次のようなときは、あらためて受診してください。

  • 水分がとれずおしっこが半日以上出ない・ぐったりしている(脱水のサイン)
  • 抗菌薬を飲んで2〜3日たっても、熱やのどの痛みが良くならない
  • 回復後に、むくみ・血尿・尿量の減少がある(腎炎のサイン)

夜間や休日で迷ったときは、#8000(子ども医療電話相談)に相談できます。

登園・登校はいつから?

溶連菌感染症は、適切な抗菌薬を飲みはじめてから24〜48時間が経過し、全身状態がよければ登園・登校が可能とされています3。抗菌薬を始めると感染力は速やかに下がるため、長い出席停止は必要ありません。

大切なのは、登園を再開しても薬は飲みきることです。「登園できる=治りきった」ではありません。園によっては登園届の提出を求められることがあるので、園と主治医の指示を確認してください。

まとめ

溶連菌感染症は、抗菌薬がよく効く一方で、「飲みきる」ことが何より大切な病気です。押さえておきたいのは次の点です。

  • 突然の高熱・のどの強い痛みで、せき・鼻水が目立たないときは溶連菌を疑い、検査を
  • 抗菌薬は1〜2日で効くが、処方された日数を最後まで飲みきる。自己判断で中断しない
  • 飲みきる主な理由はリウマチ熱を防ぐため。急性糸球体腎炎は抗菌薬と無関係に起こりうるので、回復後のサインにも注意を
  • 登園は抗菌薬開始後24〜48時間かつ全身状態がよければ可能。ただし薬は飲みきる

「良くなっても、飲みきる」。この一点さえ守れば、こわがりすぎる必要のない病気です。検査と治療を受け、最後まで薬を飲みきってあげてください。

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最終更新: 2026年7月11日

参考資料

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参考文献

  1. 国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/tsls/392-encyclopedia/340-group-a-streptococcus-intro.html 2 3 4

  2. 厚生労働省「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-17.html

  3. 厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001005138.pdf

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「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」

小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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