子どものインフルエンザ予防接種 — 対象年齢・回数・時期を小児科医が解説【2026-27シーズン】
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子どものインフルエンザ予防接種 — 対象年齢・回数・時期を小児科医が解説【2026-27シーズン】

公開: 2026年8月27日 更新: 2026年8月30日
この記事の目次 12項目

この記事のポイント

  • 対象は生後6か月から。年齢で接種量が変わり、打つかどうかは家庭の状況で判断する
  • 13歳未満は2回、13歳以上は原則1回。2回はおよそ4週間あける
  • 接種は12月中旬までに終えるのが目安。2回接種なら1回目は10月〜11月上旬から
  • 目的は発症をゼロにすることではなく、重症化・入院を減らすこと。効果の数字は正直に受け止める
  • 卵アレルギーの心配はほぼ過去のもの。基本は通常どおり接種でき、注意すべきは過去にワクチンで強い反応が出た場合だけ

📋 エビデンス

この記事の内容は、日本小児科学会の予防接種スケジュール・学会見解、および厚生労働省のインフルエンザQ&Aに基づいています。接種量や回数は年齢・体調で個別に判断されます。最終的な接種の可否は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

出典: ↗

「2回目の予約、また取れなかったらどうしよう」「卵アレルギーがあるうちの子、本当に打って大丈夫?」——秋になると、こうした検索でこのページにたどり着く方が増えます。

インフルエンザの予防接種は、毎年のことなのに毎年少し迷う。何歳から打てるのか、なぜ小さい子は2回なのか、そもそも打つ意味はあるのか。外来でも9月に入ると質問がぐっと増えます。ここでは2026-27シーズンに向けて、親が判断するために必要なことだけを、数字は正直に整理していきます。


対象は生後6か月から — 何歳から打てる?

注射のインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)は、生後6か月以上が対象です。接種量は年齢で分かれていて、6か月〜3歳未満は0.25mL、3歳以上は0.5mLと決まっています。ここは医療機関側が管理するので、保護者が覚えておく必要はありません。

迷いやすいのは、6か月〜1歳前後の赤ちゃんをどうするか。ここは医師の間でも意見が割れる領域です。日本小児科学会の学会見解では、1歳未満は接種の有効性を示す確たるデータが得られていないと明記されています。一方で1歳以上6歳未満では、発熱を防ぐ効果がおよそ2〜3割認められた、と同じ見解に書かれています。

外来でも「赤ちゃんにも打つべきか、親が打てば十分か」と聞かれることは多く、正直に言えば唯一の正解はありません。わが家でも下の子が0歳の年は、本人の接種より家族全員が打つことを優先しました。同居家族がうつさない環境をつくることも、乳児を守る立派な方法です。


回数と間隔 — 13歳未満はなぜ2回?

13歳未満は2回、13歳以上は原則1回。これは日本小児科学会の接種スケジュールで定められています。

小さい子どもの多くはインフルエンザに免疫の記憶がなく、1回の接種だけでは十分な抗体が上がりきりません。2回打つことで免疫を後押しするのが2回接種の意味です。2回目はおよそ4週間あけて接種します(許容範囲は2〜4週間、標準は4週間)。

現場でいちばん多いつまずきが、この2回目です。1回目だけ予約して、いざ2回目を取ろうとしたら枠が埋まっていて、気づけば4週間を過ぎていた——知恵袋でもよく見かける相談ですし、外来でも実際によく起こります。おすすめは単純で、1回目を打ったその日に、会計のついでに2回目の予約まで取ってしまうこと。これだけで取りそびれはほぼ防げます。


いつ打つか — 12月中旬までに終える

例年のインフルエンザ流行は12月から4月にかけてで、1月から3月にピークを迎えます。厚生労働省は、流行が本格化する前の12月中旬までに接種を終えることを目安として示しています。

逆算すると、2回接種が必要な子は1回目を10月から11月上旬に置くと、2回目を4週間後に打ってもピークに間に合います。「10月に打つと早すぎて3月には切れてしまうのでは」と心配する声もよく聞きますが、12月後半までずれ込んで流行の入り口に免疫が間に合わないほうがリスクは大きい。早めに2回を終えておくほうが確実です。

秋は他の予防接種とスケジュールが重なりがちですが、心配しすぎなくて大丈夫です。2025/26シーズン以降、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種を含め、他のワクチンとの接種間隔の制限は撤廃されました。MRやおたふく、水痘などと日程が近くても、かかりつけ医が組み合わせを調整してくれます。


「打っても意味ないのでは」への答え

ワクチンに対していちばん根強い疑問が、これです。「打ったのにかかった」「小さい子はどうせすぐもらってくる」——Q&Aサイトでも、ママ友の会話でも、必ず出てくる声です。

まず正直な数字から。インフルエンザワクチンは、感染や発症を完全には防ぎません。乳幼児での発症を防ぐ効果は、日本小児科学会の見解や厚生労働省の資料を見ても、報告によって2〜3割から6割程度と幅があります。ワクチンとしては、決して高いとは言えない数字です。

ここで一歩踏み込んでおきたいのが、一般の育児サイトではあまり書かれない点です。日本小児科学会の見解では、インフルエンザ脳症そのものを直接防ぐという点でのワクチンの効果は高くない、とはっきり述べられています。ただし同時に、そもそも罹る可能性を下げることで、結果として脳症などの重い合併症に至るリスクを減らす可能性はある、とも書かれています。

つまりワクチンの主目的は、発症をゼロにすることではなく、かかったときの重症化・入院・合併症を減らすことにあります。数字が控えめでも接種が勧められるのは、この「重くしないための保険」という位置づけがあるからです。効かないから打たない、ではなく、完璧ではないが備えにはなる、というのが実際に近い理解だと外来でもお伝えしています。


卵アレルギーがあっても打てる?

「卵アレルギーがあるけれど打っていいのか」。これは長らく小児科の定番の不安でしたが、いまはその心配はほとんど過去のものになっています。

結論から言えば、卵アレルギーがあっても、多くの場合は通常どおり接種できます。かつてはワクチンに残る微量の鶏卵成分が心配され、慎重な対応がとられていました。けれど残っている鶏卵タンパクはごくわずかで、卵アレルギーのある子だからといって強いアレルギーが増えるわけではない、と分かってきたためです。米国では、卵アレルギーだけを理由にした接種前後の特別な注意(事前の特別な観察など)はすでに不要とされ、日本小児科学会もこの考え方を紹介しています。

本当に注意すべきなのは、「卵」そのものではありません。見るべきは過去にインフルエンザワクチンの接種そのもので、アナフィラキシーなど強い反応を起こしたことがあるか——ここだけです。当てはまる場合は接種前に必ず伝えてください。逆に、卵が食べられないほどのアレルギーがあっても、ワクチンで強い反応が出た経験がなければ、それだけで接種を避ける理由にはなりません。

なお、日本の添付文書には今も鶏卵アレルギーを「接種要注意者」とする記載が残っています。ただしこれは「打てない」という意味ではなく、心配なことがあれば事前に医師へ伝えたうえで、通常どおり接種できるケースがほとんど、という位置づけです。気になるときはかかりつけ医に一言相談すれば十分です。


副反応と受診の目安

厚生労働省の資料によると、接種後の反応で最も多いのは、打った場所の赤み・腫れ・痛みです。10〜20%ほどに見られますが、多くは2〜3日でおさまります。発熱や頭痛、寒気、だるさといった全身の反応が5〜10%ほどに出ることもあり、これも通常は2〜3日で回復します。

外来で「夕方に熱が出たが副反応か」と相談を受けることがありますが、接種した腕の腫れや痛みを伴わない発熱は、たまたま別の感染症が重なっている場合もあります。判断に迷ったら受診してください。

ごくまれに、ギラン・バレー症候群や急性脳症など重い副反応が報告されています。頻度は非常に低いものの、接種後にけいれん、意識がおかしい、呼吸が苦しそう、ぐったりして反応が乏しいといった様子があれば、ためらわず受診してください。ここは「様子見」ではなく、早めの受診が正解です。


注射が苦手な子への選択肢 — 経鼻ワクチン

2024/25シーズンから、鼻にスプレーするタイプの経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)が国内でも使えるようになりました。針を刺さずに済むため、注射をこわがる子には選択肢になります。

ただし、注射のワクチンとは条件がかなり違います。対象は2歳から19歳未満で、2歳未満は対象外です。国内では全年齢で1シーズンに1回の接種です。生ワクチンのため、免疫が弱っている状態や妊娠中は接種できません。喘息のある子は禁忌ではありませんが、日本小児科学会は注射の不活化ワクチンのほうを勧めています。

「うちの子に経鼻が向いているか」は年齢や持病によって変わります。注射か経鼻かで迷ったら、体質や過去の経過を知っているかかりつけ医と一緒に選ぶのが安全です。看護師のスタッフとも、どの子にどちらが向くかはよく情報交換しています。


費用 — 任意接種で自己負担

子どものインフルエンザ予防接種は、65歳以上などの定期接種とは別枠の任意接種にあたり、原則として全額自己負担です。金額は医療機関や地域によって異なります。

「兄弟3人分だと1万円を超えて負担が大きい」という声は、毎年よく届きます。2回接種の子が複数いれば、家計への負担は確かに小さくありません。ここで確認しておきたいのが、お住まいの自治体の助成です。市区町村によっては、子どもの接種費用の一部を独自に助成している場合があります。助成の有無や対象年齢、金額は自治体ごとに違うので、「(お住まいの市区町村名) 子ども インフルエンザ 助成」で調べるか、母子手帳を受け取った窓口で確認してみてください。使える制度を取りこぼさないだけで、負担はだいぶ変わります。


よくある質問

13歳未満は必ず2回接種しないといけませんか?

はい。日本小児科学会の接種スケジュールでは、13歳未満は2回接種が原則です。初めてインフルエンザワクチンに触れる子どもの多くは、1回だけでは十分な免疫がつきにくいためです。2回目はおよそ4週間あけて(許容範囲は2〜4週間)接種します。13歳以上は原則1回です。1回目を打ったら、その日のうちに2回目の予約まで取っておくと、間隔を過ぎてしまう失敗を防げます。

卵アレルギーがあっても打てますか?

以前はワクチンに残る微量の鶏卵成分が心配されましたが、今は多くの場合、卵アレルギーがあっても通常どおり接種できます。残っている鶏卵タンパクはごくわずかで、米国では卵アレルギーだけを理由にした接種前後の特別な注意はすでに不要とされています(日本小児科学会も同様の考え方を紹介しています)。本当に注意が必要なのは卵そのものではなく、過去にインフルエンザワクチンの接種でアナフィラキシーなど強い反応を起こした経験がある場合です。その経験があるときは、接種前に必ず医師へ伝えてください。日本の添付文書には今も『接種要注意者』の記載が残りますが、これは打てないという意味ではなく、多くは通常どおり接種できます。

打ってもインフルエンザにかかることがあると聞きました。意味はありますか?

接種しても感染や発症を完全には防げません。乳幼児での発症を防ぐ効果は、報告によって2〜3割から6割程度と幅があります。それでも接種が勧められるのは、主な目的が『発症をゼロにすること』ではなく『かかったときに重症化・入院・合併症のリスクを下げること』にあるためです。数字だけを見て『効かない』と判断するより、重症化を避ける保険と捉えるのが実際に近い理解です。

いつ打つのがベストですか?早すぎると流行期に切れませんか?

厚生労働省は、流行が本格化する前の12月中旬までに接種を終えることを目安として示しています。例年の流行は12月〜4月で、1〜3月にピークを迎えます。13歳未満は2回接種のため、1回目を10月〜11月上旬、2回目をその4週間後に置くと、ピークに間に合いやすくなります。『早すぎて切れる』ことを過度に心配して12月後半にずれ込むより、流行前に2回を終えておくほうが確実です。

おわりに

インフルエンザの予防接種は、打てば絶対にかからない魔法ではありません。効果の数字は正直なところ控えめで、それでも重症化を減らす備えとして毎年勧められています。完璧ではないけれど、意味はある。その距離感を持って、家庭の状況に合わせて選んでいただければと思います。

まず決めるのは、対象年齢(6か月から)・回数(13歳未満は2回)・時期(12月中旬までに)の3つ。あとは持病や、過去にワクチンで強い反応が出たことがあれば、接種前にかかりつけ医へ正直に伝える。それだけ押さえておけば、今シーズンの判断は十分にできます。1回目を打つときは、どうか2回目の予約も忘れずに。

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