子どもの冬の乾燥肌|お風呂・暖房・着せ方で変わる。小児科医が解説
皮膚ケア 医療解説

子どもの冬の乾燥肌|お風呂・暖房・着せ方で変わる。小児科医が解説

公開: 2026年8月1日 更新: 2026年8月1日

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「秋までは何ともなかったのに、寒くなってから急に肌がザラザラしてきた」。冬の外来で、これは本当によく聞く相談です。すねを出してもらうと、白い粉をふいたようになっていて、細かい引っかき傷がついている。

このとき多くの保護者の方が最初に考えるのは「もっといい保湿剤に変えたほうがいいのだろうか」ということです。でも実際に効くのは、塗る物を変えるより、毎日の習慣を少し変えることのほうです。

この記事では、製品選びの前に見直したい生活側の対処を、具体的な数字まで落として整理します。

結論:先に変えるのは、お風呂と塗るタイミング

効果が出やすい順に並べます。

  • 湯温は38〜39℃。湯船は10分程度まで
  • 風呂上がりは5分以内に塗る
  • 塗る量が足りていないことがほとんど。「塗った」と「足りている」は違います
  • 室内は湿度50〜60%を目標に

あとは肌着を綿にして、厚着させすぎないこと。かき壊して汁が出てきたら、そこはもう保湿の守備範囲ではありません。塗る物のグレードを上げるのは、これらをやってからで十分です。順に見ていきます。

なぜ冬に悪化するのか

子どもの肌が冬に乾く理由は、ひとつではありません。4つが重なります。

空気が乾く

冬は外気の湿度が下がります。暖房を使うと室内はさらに乾き、皮膚の表面から水分が奪われやすくなります。

皮脂の分泌が減る

皮膚のうるおいは、水分と、それを閉じ込める皮脂の両方で保たれています。気温が下がると皮脂の分泌は減り、水分が逃げやすくなります。

赤ちゃんの場合は、もうひとつ事情があります。生後2〜3か月を過ぎると母体由来のホルモンの影響が薄れ、皮脂の分泌が急に減ります。ここから乾燥しやすい時期に入ります。

熱い湯で、残った皮脂まで落ちる

寒いと湯温が上がりがちです。熱い湯に長く浸かると、ただでさえ少ない皮脂が流れ落ちます。冬の乾燥のうち、生活側でいちばん変えやすいのがここです。

バリアが弱ると、かゆくなる

皮膚のバリアが弱ると外からの刺激が届きやすくなり、かゆみが出ます。かくとさらにバリアが壊れ、もっとかゆくなる。この繰り返しで悪化していきます。

皮膚が乾いて粉をふく、この状態が「皮脂欠乏症」です1。ここから、ざらつき、赤み、ひび割れへと進み、炎症を伴う段階になると「皮脂欠乏性湿疹」と呼び方が変わります。かゆみが出て掻きはじめるのはたいていこの段階です。粉をふくうちに手を打ちたいところです。

お風呂の入り方を見直す

湯温と時間

ぬるめ、というのは具体的に38〜39℃です。湯船に浸かるのは10分程度までを目安にしてください。

判断の手がかりもあります。湯上がりに肌がつっぱる感じがあれば、その湯は熱すぎます。給湯パネルの数字と、子どもの肌の感触、両方で確かめてください。

洗い方

洗うこと自体はやめないでください。汗や汚れを落とすのは冬でも必要です。見直すのは洗い方のほうです。

  • ナイロンタオルやスポンジでこすらない。手のひらか、やわらかい布で十分です
  • 石けんは泡立ててから、なでるように洗う
  • すすぎ残しは刺激になるので、そこは丁寧に

すねや背中など汚れの少ない部位なら、乾燥が強い時期に石けんの頻度を落とすのは有効です1。ただし「湿疹があるから石けんを使わない」という発想は逆効果です。おむつまわりや首のしわなど、汚れがたまる場所は毎日洗ってください。

保湿はいつ、どれくらい塗るか

アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインは、治療の基本を3本柱としています2。スキンケア、薬物療法、悪化要因への対策です。乾燥肌の段階でも土台は同じで、皮膚を清潔に保ちながら必要十分な量の保湿剤を使うことに尽きます1。つまずくのは、その「必要十分」がどれくらいかというところです。

タイミングは5分以内

風呂上がり、体を拭いたら5分以内に塗ってください1。時間がたつほど皮膚の水分は逃げていきます。

現実的には、湯冷めしないうちに済ませたいので、脱衣所に保湿剤を置いておくのがおすすめです。「リビングに戻ってから」にすると、だいたい忘れます。わが家もそうでした。

脱衣所の棚に置かれた保湿クリームのチューブとバスタオル
保湿剤は脱衣所に。手を伸ばせば届く場所にあるかどうかで、続くかどうかが決まります

量はFTUで測る

ここが最もつまずきやすいところです。多くの場合、量が足りていません

目安になる単位があります。FTU(フィンガーチップユニット)と呼ばれ、大人の人差し指の先から第一関節まで出した量、約0.5gです。これで大人の手のひら2枚分の面積に塗れます2

全身1回あたりの目安は月齢で変わります。体格や乾燥の程度に応じて加減してください。

月齢・年齢全身1回あたり
新生児〜6か月約1〜2g(2〜4FTU)
6か月〜1歳約2〜3g(4〜6FTU)
1歳〜3歳約3〜5g(6〜10FTU)

塗れているかどうかは見た目でも確かめられます。塗ったあとに皮膚が少ししっとり光って見える、ティッシュを軽く当てると貼りつく。これが足りている状態です。

消費ペースでも確かめられます。1歳の子に1回3g、1日2回なら、100gのチューブは2〜3週間で空になります。1か月以上もっているなら、量が足りていない可能性が高いです。

回数は1日2回以上

冬は1日2回、朝と入浴後を基本にしてください1。日中にかゆがるなら、そのつど足してかまいません。

一般的な保湿剤は、回数を多めに塗って問題になることはまれです。ただし、しみる・赤くなるようなら製品が合っていない可能性があるので、いったん中止して相談してください。

いつまで続けるのか、という質問もよく受けます。気温と湿度が上がると皮脂の分泌も戻るので、3月から4月にかけて粉をふかなくなったら、1日1回に減らして様子を見てかまいません。ただし、やめた翌週にまたざらついてくる子もいます。その場合は減らさず続けてください。

カサつきが取れないとき、まず疑うのは量です。量が足りているのに改善しないなら、次に製品のタイプを見直します。冬はローションよりクリームやワセリンのほうが向きます。製品ごとの違いは赤ちゃんの保湿剤の選び方ガイド子どもの保湿剤おすすめ6選にまとめています。

「アトピーの予防になる」という話について

新生児期から保湿を続けるとアトピー性皮膚炎の発症が減る、という報告が2014年に日本から出ました3。ただしその後、英国で約1,400人を対象に行われた大規模な試験では予防効果が確認されず、皮膚感染症がやや増える可能性も示されました4。複数の研究をまとめたレビューでも、保湿でアトピー性皮膚炎を予防できるとは言えない、という評価になっています5

つまり予防を当て込んで塗るものではありません。いま乾燥している肌を守るために塗る。そう考えておくのが、現時点では正確です。

部屋の環境 — 湿度と暖房

暖房は空気を乾かします。エアコンはとくにその傾向が強く、設定温度を上げるほど室内は乾燥します。

目標は湿度50〜60%です。湿度計を1つ置いて、数字で管理してください。60%を超える過加湿はカビやダニを増やすので、上げればよいというものではありません。

冬の窓辺に置かれた湿度計と加湿器
湿度は体感では分かりません。湿度計を1つ置いて、数字で50〜60%に合わせます
  • 加湿する。加湿器がなければ洗濯物の室内干しでも足しになります
  • 室温を上げすぎない。1枚着せるほうが肌には優しいです
  • 温風が直接子どもに当たらないよう、風向きを変える

クリニックのスタッフからも「加湿器を買ったのに乾く」という話をよく聞きます。たいてい、暖房の設定温度のほうが高すぎます。加湿器の方式ごとの違いは加湿器の選び方にまとめました。

冬に荒れやすい部位

全身のケアとは別に、冬は特定の場所が集中的に荒れます。診察のときに私が必ず見るのは、口のまわりと手の甲の2か所です。この2つが荒れている子は、たいてい全身も乾いています。

なめると乾くのが唇です。舌でぬらした水分が蒸発するとき、もとの水分まで持っていかれます。白色ワセリンをこまめに塗ってください。子ども用のリップでもかまいませんが、香料の強いものは避けます。

口のまわりが荒れるのは、よだれ・食べこぼし・鼻水を拭く動作が重なるからです。拭くときはこすらず押さえるように。食事の前にワセリンを薄く塗っておくと、汚れが直接肌につきにくくなります。

手の甲は、冬に荒れる理由がはっきりしています。感染症のシーズンで手洗いの回数が増えるからです。洗って水気を拭いたら、そのつど塗るのが理想です。アルコール消毒はしみるので、荒れているときは石けんと流水を優先してください。

残るは頬で、ここは外気とマスクの摩擦が重なります。外出前にワセリンを薄く塗っておくと、風から守れます。

着せ方と衣類

肌に直接触れる1枚を変えると、夜の掻き方が変わります。

ウールやフリースは繊維が太くて硬いので、乾いてバリアが弱った肌には物理的な刺激になります。かゆがってじっとしていられない子は、まず肌着を綿に。上に何を着せるかより、直接触れる1枚を先に見直してください。

厚着も逆効果です。汗をかいて蒸れると、それ自体が刺激になります。目安は大人より1枚少なく。背中や首の後ろに手を入れて汗ばんでいたら、1枚減らしてください。

妻が保育園の送り迎えで聞いてくる話でも、朝に一枚多く着せて、帰るころには背中が汗びっしょり、という子が毎年います。迷ったら1枚減らす。これが冬にいちばん多く伝えている助言です。

受診の目安 — かき壊しの先にあるもの

保湿を続けても改善しないときは、すでに炎症が起きている可能性があります。次のようなときは受診してください。

  • 赤みが出ている、ブツブツができている
  • かき壊して汁が出ている、かさぶたになっている
  • かゆみで夜眠れない、朝までに掻き壊している
  • ひび割れて痛がる
  • 2週間ほど保湿を続けても、よくならない

冬の外来でとびひが増えるのは1月から2月です。もとをたどると、12月に夜中かき壊した傷であることが少なくありません。汁が出て周囲に広がっていくようなら、早めに受診してください。とびひについてはとびひの症状と治療で詳しく扱っています。

受診すると何をされるのか

「病院に行くとステロイドを出されるのでは」と身構える方がいます。実際の流れはこうです。

まず保湿剤が処方できます。ヘパリン類似物質や白色ワセリンなど、市販品と同じ成分のものが健康保険で出せるので、量を気にせず使えるようになります。

炎症が起きていれば、そこにステロイド外用薬を数日から2週間程度あわせます。ステロイド外用薬は強さが5段階に分かれていて2、子どもの体幹や手足には弱いランクのものを、顔にはさらに弱いものを選びます。炎症をいったん抑えてから保湿だけに戻す、という進め方が標準です。だらだら塗り続けるものではありません。使い方は子どものアトピー性皮膚炎の基礎知識で詳しく扱っています。

処方薬と市販品の使い分けは保湿剤の選び方ガイドにまとめました。市販薬で粘るほど長引きます。一度診せてください。

よくある質問

冬に入浴剤を使ってもいいですか?

保湿成分の入った入浴剤なら使ってかまいません。ただし、入浴剤を入れたから保湿剤を省いてよい、ということにはなりません。湯に溶けた成分が肌に残る量は限られます。風呂上がりに塗るのが主役、という順番は変わりません。

避けたいのは炭酸ガス系や硫黄を含むものなど、刺激の強いタイプです。かき壊した傷があるとしみるので、その時期は湯だけにしておくのが無難です。

保湿を嫌がって逃げます。どうすれば続けられますか?

全身を一度に済ませようとすると、子どもには長い拘束時間になります。上半身と下半身を分ける、着替えのついでに脚だけ塗る。分割すると続きやすくなります。塗る前に手のひらで温めておくと、ひやっとせず嫌がりにくくなります。

それでも難しければ質感を変えてください。べたつくクリームを嫌がる子が、さらっとしたローションなら受け入れる。よくあることです。

かゆがって夜中に起きてしまいます。どうすればいいですか?

布団の中は体が温まり、かゆみが強くなる時間帯です。寝る前の保湿を厚めにする、寝室を暑くしすぎない、爪を短く整える。この3つでかなり違います。

それでも眠れない、朝までに掻き壊してしまう。この状態が続くなら、保湿だけでは追いつかず炎症が起きています。かゆみ止めや炎症を抑える塗り薬が必要なので、かかりつけに相談してください。

毎年冬になると悪くなります。アトピー性皮膚炎でしょうか?

冬だけ乾燥して、保湿を続けると落ち着き、春から夏に改善するなら、多くは乾燥による皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)です。

一方、日本皮膚科学会はアトピー性皮膚炎の慢性の経過を、乳児では2か月以上、それ以降の年齢では6か月以上と定義しています。よくなったり悪くなったりをこの期間を超えて繰り返す、季節に関係なく出る、ひじやひざの内側など曲がる部分に湿疹がある。こうした場合はアトピー性皮膚炎を考えます。見分けが難しいことも多いので、毎年繰り返しているなら一度きちんと診てもらってください。

まとめ

冬の乾燥肌でいちばん効くのは、湯温を38〜39℃まで下げることと、風呂上がり5分以内に塗ることの2つです。この2つを変えるだけで、多くの子は12月を越えられます。

それでもカサつきが残るなら、疑うのはまず量です。100gのチューブが1か月もっているなら、足りていません。量を増やしても改善しないときに、はじめて製品のタイプを見直します。赤みや汁が出ているなら、もう保湿の守備範囲ではありません。かき壊した傷は1月にとびひとして戻ってきます。そうなる前に一度診せてください。

わが家の下の子も毎年12月に同じ状態になりますが、湯温を下げて脱衣所に保湿剤を置いた年から、明らかに軽くなりました。毎年のことだからと諦めている方は、まずそこからです。

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最終更新: 2026年8月1日

参考資料

あわせて読みたい

参考文献

  1. 皮脂欠乏症診療の手引き2021(日本皮膚科学会) https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/131_2255.pdf 2 3 4 5

  2. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(日本皮膚科学会・日本アレルギー学会) https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/134/11/134_2741/_article/-char/ja/ 2 3

  3. Horimukai K, et al. Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol. 2014;134(4):824-830. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25282564/

  4. Chalmers JR, et al. Daily emollient during infancy for prevention of eczema: the BEEP randomised controlled trial. Lancet. 2020;395(10228):962-972. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32087126/

  5. Kelleher MM, et al. Skin care interventions in infants for preventing eczema and food allergy. Cochrane Database Syst Rev. 2021. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33545739/

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小児科専門医・アレルギー専門医

日本小児科学会 小児科専門医 日本アレルギー学会 アレルギー専門医

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小児一般診療 アレルギー疾患(食物・アトピー・気管支喘息) 皮膚疾患 発達相談

「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」

小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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