夏の外耳炎(スイマーズイア) — 予防と対処ガイド
皮膚ケア 医療解説

夏の外耳炎(スイマーズイア) — 予防と対処ガイド

公開: 2026年6月30日 更新: 2026年6月30日

この記事のポイント

  • 外耳炎はプール・海水浴後に多い夏の耳トラブル。耳を引っ張ると痛みが強くなるのが特徴
  • 最大の原因は「耳掃除のしすぎ」。綿棒で奥まで掃除するのは逆効果
  • プール後は耳を軽く傾けて水を出し、自然乾燥させるだけでよい
  • 市販点耳薬の自己判断使用は避け、まず耳鼻科を受診する
  • 中耳炎とは原因も治療も異なる別の病気

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📋 エビデンス

この記事の医学的内容は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会および日本小児科学会の公式情報に基づいています。個別の医療判断については必ずかかりつけ医にご相談ください。

出典: ↗

夏休み、毎日のようにプールに通っていた子どもが「耳が痛い」と訴える。耳を触ると嫌がる、耳から液体が出ている——こうした症状があれば、外耳炎の可能性が高いです。

外耳炎は「スイマーズイア(swimmer’s ear)」とも呼ばれ、夏場にプールや海水浴の頻度が上がるとともに増える耳のトラブルです。中耳炎と混同されることがありますが、原因も治療も異なります。


外耳炎とは

外耳道の構造

耳の穴から鼓膜までの管状の部分を「外耳道」と呼びます。長さは大人で約2.5〜3cm、子どもではさらに短いです。外耳道の皮膚は薄く、少しの刺激で傷がつきやすい構造になっています。

通常、外耳道は耳垢(耳あか)と皮脂によって弱酸性に保たれ、細菌の繁殖を防いでいます。この防御機構が壊れると、細菌や真菌が繁殖して炎症を起こします。これが外耳炎です1

原因

外耳炎の原因は主に2つです。

  1. 水分の滞留: プールや海水浴後に外耳道に水が残ると、皮膚がふやけて細菌が侵入しやすくなります
  2. 外耳道の損傷: 綿棒や耳かきで外耳道の皮膚を傷つけると、そこから細菌が感染します

実は、臨床的に最も多い原因は「耳掃除のしすぎ」です。プールの後に水を取ろうとして綿棒でゴシゴシこすると、皮膚を傷つけて感染リスクを高めてしまいます1


症状の見分け方

典型的な症状

外耳炎の症状は以下のとおりです。

  • 耳の痛み(耳介を引っ張ると痛みが増す——これが外耳炎に特徴的)1
  • 耳のかゆみ(初期症状として多い)
  • 耳漏(耳から透明〜黄色の液体が出る)
  • 耳がふさがった感じ(外耳道の腫れによる聴力低下)
  • 耳の周りの皮膚の赤み

中耳炎との見分け方

外耳炎中耳炎
痛みの特徴耳を引っ張ると悪化耳の奥が痛む
きっかけプール・耳掃除風邪(上気道感染)
耳漏外耳道からの分泌物鼓膜穿孔時に出る
発熱通常なし伴うことが多い
年齢どの年齢でも乳幼児に多い

耳を軽く引っ張ったり、耳の入り口を押したりして痛みが強くなるなら、外耳炎を疑います。

すぐに受診すべきサイン

  • 痛みが強く、鎮痛薬でも改善しない
  • 耳の周りが赤く腫れている(蜂窩織炎の可能性)
  • 発熱を伴う
  • 聴こえが明らかに悪くなっている

予防法

プール後の耳のケア

プールや海水浴の後に外耳炎を予防するために、以下を実践してください。

  • 頭を横に傾けて、耳に入った水を自然に出す(両側とも)
  • 耳の入り口をタオルで軽く拭く
  • 綿棒で奥まで拭かない
  • 自然乾燥を待つ(ドライヤーの弱風を耳から30cmほど離して当てるのも可)

耳掃除を控える

外耳炎の予防で最も大切なのは、過剰な耳掃除をしないことです。

耳垢は外耳道の自浄作用で自然に外へ排出されます。綿棒を奥まで入れると、耳垢を押し込んで耳垢栓塞の原因になったり、外耳道の皮膚を傷つけて細菌感染のきっかけを作ったりします2

耳掃除をするなら、耳の入り口付近を軽く拭く程度にとどめてください。大きな耳垢の塊が見える場合は、無理に取ろうとせず耳鼻科で除去してもらうのが安全です。

耳栓の使用

外耳炎を繰り返す子どもの場合、プール時に耳栓を使用することで予防効果が期待できます。子どもの耳の大きさに合ったシリコン製の耳栓が市販されています。ただし、耳栓が外耳道を傷つけないよう、サイズの合ったものを選んでください。


治療

耳鼻科での治療

外耳炎が疑われたら、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。小児科でも対応できますが、外耳道の観察と処置は耳鼻科が専門です。

治療は以下が中心です。

  • 外耳道の洗浄・清掃(医師が行う)
  • 抗菌薬を含む点耳薬の処方
  • 痛みが強い場合は鎮痛薬の内服

軽症であれば点耳薬を数日使用することで改善します。

市販点耳薬の注意

市販の点耳薬の中には抗菌成分やステロイドが含まれるものがありますが、小児への使用は慎重であるべきです。

  • 鼓膜に穴がある場合(中耳炎の既往がある場合など)は使用できない製品がある
  • 真菌(カビ)が原因の外耳炎には抗菌薬は効かない1
  • 自己判断で長期間使用すると、耐性菌のリスクがある

受診前に自己判断で市販薬を使うよりも、まず医師に診てもらうことをお勧めします。

治療中の注意

  • 治療が終わるまでプールは控える
  • 処方された点耳薬は指示された期間、きちんと使い切る(症状が改善しても途中でやめない)
  • 入浴時は耳に水が入らないよう注意する

外耳炎を繰り返す場合

夏のたびに外耳炎を繰り返す子どもは、以下を見直してみてください。

  • 耳掃除の習慣: 頻度を減らす、綿棒を使わない
  • プール後のケア: 上記の予防法を毎回実践する
  • アレルギー性皮膚炎: アトピー性皮膚炎がある子は外耳道の皮膚バリアも弱く、外耳炎になりやすい傾向がある。基礎疾患の治療が予防につながる

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参考資料

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参考文献

  1. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 外耳炎の診療 https://www.jibika.or.jp/ 2 3 4

  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット 耳の病気 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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