こどもの熱中症対策|幼児がなりやすい理由と予防・応急処置【2026年版】
小児科医が教える なりやすい理由・危険な時期・応急処置
この記事の目次 13項目
- この記事のポイント
- なぜ子どもは熱中症になりやすいのか
- 理由1:発汗能力が未熟
- 理由2:体表面積あたりの代謝量が大きい
- 理由3:地面からの輻射熱
- 理由4:自分で水分補給の判断ができない
- 月別リスクカレンダー — 本当に危ないのはいつ?
- WBGTで判断する ― 気温だけでは不十分
- 熱中症の重症度分類 — 2024年ガイドライン改訂対応
- 応急処置の3ステップ — これだけは覚えておく
- ステップ1:涼しい場所に移動
- ステップ2:体を冷やす
- ステップ3:水分・塩分の補給
- 救急車を呼ぶ判断基準
- 予防の基本 — 日常でできる5つの対策
- 1. こまめな水分補給
- 2. 暑い時間帯を避ける
- 3. 服装の工夫
- 4. 暑熱順化(暑さ慣れ)
- 5. 室内でも油断しない
- 対策グッズは別記事にまとめました
- よくある質問
- Q1. 経口補水液とスポーツドリンクの違いは何ですか?
- Q2. 冷却リングは何歳から使えますか?
- Q3. 室内にいれば熱中症にはなりませんか?
- Q4. 子どもに冷たい飲み物を一気に飲ませてもよいですか?
- Q5. 保冷剤を直接肌に当てても大丈夫ですか?
- 子どもはなぜ大人より熱中症になりやすいのですか?
- 熱中症が疑われたら、最初に何をすればよいですか?
- 外遊びの中止は気温だけで判断してよいですか?
- まとめ
- 引用・参考文献
- あわせて読みたい:夏の子どもの健康ガイド
- 夏の感染症・体調管理
- 夏の皮膚・紫外線・虫対策
- 熱中症グッズ
- 参考文献
この記事のポイント
熱中症は、体温調節が未熟な子どもがなりやすく、涼しい場所へ移動して首やわきの下を冷やし、水分と塩分を補給するのが応急処置の基本です。
- 🌡️ 子どもは体温調節が未熟で、発汗能力は大人の約6割しかありません
- 🔥 地面に近い子どもが感じる気温は大人より+7℃にもなります
- ⚠️ 梅雨明け直後が最も危険。暑さに体が慣れていない時期に集中します
- 🚨 意識がおかしいときは即119番。迷ったら救急車を呼んでいい
- 🧊 予防グッズの比較は熱中症対策グッズ8選に分けました
夏の紫外線対策とあわせて備えたい方は、子どもの日焼け止め比較ガイド、屋外レジャーが多い方は子どものプール対策もご覧ください。買うものを先に決めたい方は、子どもの熱中症対策グッズ8選へどうぞ。
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なぜ子どもは熱中症になりやすいのか
外来で「熱が下がらない」と来院されるお子さんの中に、実は熱中症だったケースがあります。高熱の原因が風邪ではなく暑さだった、と聞いて驚く保護者の方は少なくありません。
子どもが大人よりも熱中症にかかりやすい理由は、大きく4つあります。
理由1:発汗能力が未熟
子どもの発汗能力は大人の約6割です1。汗をかいて体温を下げる仕組みが十分に発達していないため、体に熱がこもりやすくなります。汗腺の数は大人と同じですが、1つ1つの汗腺の機能が未熟なのです。
理由2:体表面積あたりの代謝量が大きい
子どもは体重あたりの基礎代謝量が大人よりも高く、運動時の熱産生が相対的に多くなります。加えて体が小さいため、外気温の影響を受けやすい構造になっています。
理由3:地面からの輻射熱
アスファルトの表面温度は、気温35℃の日に60℃を超えることがあります。身長100cmの子どもの顔の位置は地面から約80cm。子どもが感じる体感温度は大人より+7℃にもなるとされています2。ベビーカーの赤ちゃんはさらに地面に近く、リスクは一層高まります。
パパ友から「何度から外遊びをやめさせるべき?」と聞かれたことがありますが、子どもの体感温度を考えると、大人が「暑いな」と感じた時点で子どもにとっては危険域に入っている可能性があります。
理由4:自分で水分補給の判断ができない
乳幼児は「のどが渇いた」と自分から伝えられません。遊びに夢中になっている幼児や小学生も、水分補給を忘れがちです。保護者や周囲の大人が、こまめに声をかけて飲ませる必要があります。
📋 エビデンス
子どもは体温調節機能が未発達であり、晴れた日に地表面近くで活動する子どもは大人以上の暑熱環境にさらされます。特に乳幼児は脱水に陥りやすく、保護者による注意深い観察と水分補給が求められます。
出典: 熱中症環境保健マニュアル — 環境省 ↗月別リスクカレンダー — 本当に危ないのはいつ?
「熱中症=真夏」と思われがちですが、実はそうとも限りません。
5月:意外な落とし穴
気温25℃超の日が出始めます。体がまだ暑さに慣れていないため、思わぬ事故が起きやすい時期。GWの屋外イベントは要注意です。
6月〜7月上旬:梅雨の合間
湿度が高く汗が蒸発しにくい。曇りでも油断禁物。運動会のシーズンと重なり、学校での発症が増えます。
7月下旬〜8月:最大リスク期
梅雨明け直後が最も危険。体の暑熱順化が追いつかないまま、急に猛暑が来るタイミングです。救急搬送数のピークもこの時期に集中します3。
9月:残暑に油断
運動会の練習が再開する時期。「もう秋だから」と油断しがちですが、残暑が厳しい年は9月も搬送数が高水準です。
わが家でもGWのBBQで上の子がぐったりして焦った経験があります。5月は「まだ大丈夫」という油断が一番怖い時期です。
WBGTで判断する ― 気温だけでは不十分
暑さの指標としてよく使われるのが「気温」ですが、熱中症リスクの判断にはWBGT(暑さ指数)がより正確です。WBGTは気温・湿度・輻射熱の3つを総合した指標で、環境省が毎日公開しています2。
| WBGT | 区分 | 子どもの活動目安 |
|---|---|---|
| 〜24 | 注意 | 通常どおり活動可 |
| 25〜27 | 警戒 | 激しい運動は30分おきに休憩 |
| 28〜30 | 厳重警戒 | 外遊びは控えめに。こまめに休憩と水分補給 |
| 31〜 | 危険 | 屋外活動は原則中止 |
WBGT31以上で運動は原則中止です。日本スポーツ協会もこの基準を採用しています。スマホのウェザーアプリやメール配信で「暑さ指数」を毎朝チェックする習慣をつけましょう。
熱中症の重症度分類 — 2024年ガイドライン改訂対応
2024年に改訂された日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2024」3では、重症度をI度・II度・III度の3段階で分類しています。
I度(軽症)— 現場で対応可能
めまい、立ちくらみ、生あくび
大量の発汗
筋肉の痛み・こわばり(こむら返り)
手足のしびれ
II度(中等症)— 医療機関の受診が必要
頭痛、吐き気、嘔吐
体がだるい、力が入らない
集中力や判断力の低下
III度(重症)— 救急搬送が必要
意識障害(呼びかけに反応が鈍い、おかしな言動)
けいれん
まっすぐ歩けない
体温40℃以上
正直なところ、I度とII度の境目は医師でも迷うことがあります。小さな子どもは「頭が痛い」「だるい」をうまく言葉にできません。「いつもと違う」「元気がない」「ぐずりがひどい」と感じたら、II度以上を疑って早めに対処してください。
応急処置の3ステップ — これだけは覚えておく
子どもに熱中症の兆候が見られたら、以下の3ステップで対応します。
ステップ1:涼しい場所に移動
エアコンの効いた室内、または木陰へ。衣服をゆるめ、ベルトやボタンを外して体を風にさらします。
ステップ2:体を冷やす
首の両側、わきの下、太ももの付け根(鼠径部)に保冷剤やペットボトルを当てます。ここには太い血管が通っており、血液を冷やすことで効率的に体温を下げられます。濡れタオルで体を拭き、うちわで風を送るのも有効です。
ステップ3:水分・塩分の補給
意識がはっきりしていれば、経口補水液を少しずつ飲ませます。スポーツドリンクでも構いませんが、ナトリウム濃度が経口補水液より低いため、大量発汗時は経口補水液の方が適しています。OS-1とアクアライトの違いや年齢別の飲ませ方は、子どもの経口補水液ガイドで詳しく解説しています。
外来でも「お子さんの唇が乾いていたら要注意」とお伝えしています。唇や舌の乾き、おしっこの量や色の変化は、脱水の早期サインです。
救急車を呼ぶ判断基準
以下のいずれかに当てはまったら、ためらわず119番通報してください。
こんなときは迷わず119番
・呼びかけに反応が鈍い、意識がもうろうとしている
・けいれんを起こした
・自分で水が飲めない
・応急処置をしても症状が改善しない
・体温が40℃を超えている
意識がおかしいときは即119番。迷ったら救急車を呼んでいいのです。「大げさかも」と遠慮している間に症状が進行するリスクの方がはるかに大きい。
📋 エビデンス
熱中症のII度以上は医療機関での対応が必要であり、III度(意識障害・けいれん・高体温)は入院管理が必須とされています。意識障害がある場合は経口での水分補給は誤嚥のリスクがあるため行わず、すみやかに救急要請してください。
出典: 熱中症診療ガイドライン2024 — 日本救急医学会 ↗予防の基本 — 日常でできる5つの対策
グッズ紹介の前に、予防の土台となる基本対策を押さえておきましょう。
1. こまめな水分補給
のどが渇く前に飲む習慣をつけます。外遊びの前・途中・後の3回は最低ラインです。乳児は母乳やミルクを頻回に与えてください。1歳以上であれば、麦茶や水をこまめに少量ずつ。大量発汗時は経口補水液を使います。
2. 暑い時間帯を避ける
10時〜14時は紫外線も輻射熱もピーク。この時間帯の屋外活動は控えめにし、朝夕の涼しい時間に振り替えるのが理想です。
3. 服装の工夫
通気性のよい素材、薄い色の服を選びます。帽子は必須。首の後ろまで覆うたれ付きタイプがベストです。
4. 暑熱順化(暑さ慣れ)
急な猛暑に体がついていけないことが、熱中症の大きな原因です。梅雨の時期から、やや暑いと感じる程度の環境で15〜20分の軽い運動を続けると、汗をかく機能が鍛えられます。
5. 室内でも油断しない
室内の熱中症は全体の約4割を占めます。エアコンは28℃以下に設定し、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させましょう。「節電」より子どもの命が優先です。
対策グッズは別記事にまとめました
予防グッズの比較は、子どもの熱中症対策グッズ8選 — 比較表つきにまとめました。ネッククーラー・経口補水液・水筒・塩分タブレット・日よけ帽子・ハンディファン・冷却タオル・ベビーカー冷却シートの8ジャンルを、対象年齢と選び方の基準をそろえた比較表で整理しています。
この記事は、なりやすい理由・危険な時期の見極め・応急処置に絞っています。まず読むならこちらから、買うものを決める段階になったらグッズ記事へ、という使い分けを想定しています。
よくある質問
Q1. 経口補水液とスポーツドリンクの違いは何ですか?
経口補水液はスポーツドリンクよりもナトリウム濃度が高く、糖分が少ない設計です。脱水時の水分・電解質補給を目的としており、WHOの経口補水療法に基づいています。スポーツドリンクは運動時のエネルギー補給も兼ねるため、糖分が多めです。大量発汗で脱水が疑われる場面では経口補水液の方が適しています。日常的な水分補給にはお茶や水で十分です。
Q2. 冷却リングは何歳から使えますか?
対象年齢はメーカーやシリーズによって異なります(2歳頃からとするものも、3歳以上とするものもあります)。ただし、首にフィットするサイズかどうかは個人差があります。ゆるすぎると冷却効果が下がり、きつすぎると不快感で嫌がります。購入前にお子さんの首周りを測定してください。1歳未満の赤ちゃんには、ベビーカー用の冷却シートや保冷剤タオルで対応する方が安全です。
Q3. 室内にいれば熱中症にはなりませんか?
室内でも熱中症は起こります。環境省のデータによると、熱中症による救急搬送の約4割が室内で発生しています2。エアコンを使わない部屋、閉め切った車内、キッチンの火の近くなどは特に注意が必要です。「エアコンは体に悪い」という考えで使用を控える方もいますが、適切に使えば害はありません。設定温度28℃以下を目安に、室温管理を行ってください。
Q4. 子どもに冷たい飲み物を一気に飲ませてもよいですか?
一気に大量の冷水を飲ませると、胃腸に負担がかかり嘔吐を誘発する場合があります。脱水時の水分補給は「少量をこまめに」が原則です。5〜10分おきにスプーン1〜2杯から始め、嘔吐がなければ少しずつ量を増やします。飲み物の温度は、キンキンに冷やすよりもやや冷たい程度(10〜15℃)の方が胃への刺激が少なく、吸収効率もよいとされています。
Q5. 保冷剤を直接肌に当てても大丈夫ですか?
保冷剤を直接肌に長時間当てると、凍傷のリスクがあります。必ずタオルやハンカチで包んでから使ってください。特に子どもの肌は薄く敏感なので、大人よりも短い時間で凍傷が起きる可能性があります。冷やす時間は1か所あたり10〜15分を目安にし、肌が赤くなったり痛がったりしたらすぐに外してください。PCM素材のネッククーラー(SUOなど)は28℃前後を保ち、0℃近くまで下がらないため凍傷のリスクは低くなります。
子どもはなぜ大人より熱中症になりやすいのですか?
体温調節機能が未熟で、身長が低く地面からの熱を受けやすいためです。自分で暑さやのどの渇きを訴えにくい点も関係します。
熱中症が疑われたら、最初に何をすればよいですか?
涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を冷やしてください。意識がはっきりしていれば水分補給を行い、改善しなければ受診が必要です。
外遊びの中止は気温だけで判断してよいですか?
気温だけでは不十分で、WBGTや湿度、日差しも重要です。曇りでも危険な日があるため、暑さ指数を確認する習慣が役立ちます。
まとめ
- 🌡️ 子どもは発汗能力が大人の約6割。体温調節が未熟なぶん、大人以上に暑さへの配慮が必要です
- 📅 梅雨明け直後が最も危険。5月のGWから9月の残暑まで、油断できない期間は長い
- 📊 気温だけでなくWBGT(暑さ指数)31以上で屋外活動は原則中止。毎朝チェックする習慣を
- 🚨 意識がおかしい・水が飲めない・40℃超えは迷わず119番。「大げさかも」よりも「遅すぎた」を恐れてください
- 💧 水分補給は「のどが渇く前に」。大量発汗時は経口補水液を活用
- 🧊 ネッククーラー・日よけ帽子・冷却シートは手軽に取り入れられます
- 🏠 室内でも約4割が発症。エアコン28℃以下を目安に、室温管理を怠らないこと
子どもの熱中症は、正しい知識と適切な準備があれば防げるものです。この記事で紹介した対策を、今年の夏から取り入れてみてください。
医師確認済み
ラボの小児科医(小児科専門医・アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/4/29)
引用・参考文献
あわせて読みたい:夏の子どもの健康ガイド
暑い季節は、熱中症のほかにも気をつけたい感染症や肌トラブルが増えます。あわせて備えておきましょう。
夏の感染症・体調管理
- プール熱(咽頭結膜熱)— 症状・出席停止・家庭でのケア
- とびひの感染力と隔離期間 — 「抗生剤を飲んだら翌日から」が正解の理由
- 手足口病 — 症状・登園のめやす・家庭でのケア
- 子どもの夏バテ — 食欲不振・だるさの見分け方と対策
- 子どもの経口補水液ガイド — OS-1の飲ませ方と年齢別の目安
夏の皮膚・紫外線・虫対策
熱中症グッズ
参考文献
-
国立成育医療研究センター「熱中症(熱射病)」 https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html ↩
-
環境省「熱中症環境保健マニュアル」 https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php ↩ ↩2 ↩3
-
日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」 https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf ↩ ↩2
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/4/29)
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