子どもの鼻血の止め方|上を向かせないで。正しい応急処置と受診の目安を小児科医が解説
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子どもが急に鼻血を出すと、真っ赤な血にこちらまであわててしまいます。とっさに「上を向いて」と言いたくなりますが、じつはそれは逆効果です。わが家でも、上の子が乾燥する冬によく鼻血を出し、最初はどうしていいか分からず慌てました。
先に結論をお伝えします。鼻血は、座って少し前かがみになり、小鼻をつまんで押さえれば、多くはちゃんと止まります。
結論:上を向かせず、小鼻を10〜15分つまむ
子どもの鼻血の多くは、鼻の入り口近くの「キーゼルバッハ部位」からの出血で、正しく圧迫すれば家庭で止められます1。押さえておきたいのは次の3点です。
- 上を向かせない。血がのどに流れ込み、飲み込んで吐く原因になります12
- 座って少し前かがみ、小鼻をつまんで10〜15分圧迫。途中で離さないことがコツです23
- 20分以上押さえても止まらない・頭を打った後・繰り返すときは受診を14
順に、正しい止め方から受診の目安まで整理します。
なぜ「上を向く」はダメなのか
鼻血が出ると、反射的に上を向かせたり、あおむけに寝かせたりしがちです。しかし、上を向くと血がのどのほうへ流れ込みます。飲み込むと気持ち悪くなったり、量が多いと吐いてしまうことがあります12。血がどれだけ出ているかも分からなくなります。
「首の後ろをトントン叩く」という昔ながらの方法も、止血の役には立ちません。子どもの鼻血で本当に効くのは、出血している場所を指で直接押さえること、ただ一つです。あわてず、次の手順で進めましょう。
正しい鼻血の止め方
1. 落ち着いて座らせ、少し前かがみにする
まず子どもを座らせ、顔を少し下(前かがみ)に向けます。寝かせたり上を向かせたりしないでください。前かがみにすると、血がのどへ流れ込みにくくなります2。子どもが不安がるので、「大丈夫、すぐ止まるよ」と声をかけながら落ち着かせてあげてください。
2. 小鼻をしっかりつまむ
鼻の下側のやわらかい部分(小鼻)を、親指と人差し指で左右からしっかりつまみます12。骨のある鼻の付け根ではなく、やわらかい部分を押さえるのがポイントです。ここを圧迫することで、出血しているキーゼルバッハ部位を直接押さえられます。
3. 10〜15分、そのまま押さえ続ける
つまんだまま、10〜15分間、指を離さずに押さえ続けます123。いちばんよくある失敗が、途中で「止まったかな」と何度も確認して離してしまうことです。そのたびに固まりかけた血がはがれ、また出血します。時計を見て時間を決め、その間は離さないでください2。
4. 口で呼吸し、のどの血は吐き出す
鼻をつまんでいる間は口で呼吸します。のどに流れてきた血は、飲み込まずに口から吐き出させてください。血を飲み込むと、気持ち悪くなることがあります1。
5. 止まらなければもう一度、それでもだめなら受診
10〜15分で止まらなければ、もう一度同じように圧迫します2。それでも止まらないときは、次の「受診の目安」を参考に医療機関へ。
こんなときは受診を
多くの鼻血は家庭で止められますが、次のようなときは耳鼻咽喉科や小児科(状況によっては救急)を受診してください14。
- 20分以上しっかり圧迫しても止まらない
- 出血の量が多い・勢いが強い、顔色が悪い・ふらつく
- 頭を打ったあとの鼻血
- 繰り返しが多く、日常生活に支障がある(毎回なかなか止まらない)
- 体のあちこちにあざができやすいなど、出血しやすい様子がある
とくに、あざができやすい・出血が止まりにくいといったサインがあるときは、まれに出血しやすい体質や病気が隠れていることもあるため、医療機関で相談してください4。判断に迷うときは、小児救急電話相談「#8000」も利用できます。
繰り返す鼻血——背景と予防
「うちの子、しょっちゅう鼻血を出すんです」という相談は、外来でもよくあります。子どもの鼻血の多くは、次のような理由で起こります54。
- 鼻をいじる・こする、強くかむなどの物理的な刺激
- 空気の乾燥(とくに冬・暖房の効いた室内)
- かぜやアレルギー性鼻炎による、鼻粘膜の腫れ・荒れ
いずれも、キーゼルバッハ部位の弱い粘膜が傷つくことが引き金です。多くは成長とともに落ち着いていきます4。予防のポイントは、次のとおりです。
- 鼻を強くいじらない・ほじらないよう、根気よく声かけを(爪は短く清潔に)
- 室内を加湿し、鼻粘膜の乾燥を防ぐ
- アレルギー性鼻炎があれば、そのコントロールを主治医と相談する
冬の乾燥対策としての加湿については、加湿器の選び方でくわしく解説しています。鼻の入り口が乾いてかさぶたになりやすい場合、保湿の方法について小児科医に相談するのもよいでしょう。
よくある質問
鼻血のとき、上を向かせてはいけないのですか?
はい。上を向くと血がのどに流れ込み、飲み込んで吐く原因になります。正しくは、座って少し前かがみになり、小鼻をしっかりつまんで10〜15分押さえ続けます12。
どのくらい押さえれば止まりますか?
小鼻を左右からしっかりつまみ、10〜15分連続で圧迫すれば、多くは止まります。途中で確認のために離すと再出血するので、時間まで離さないのがコツです23。
鼻血はどこからの出血ですか?
多くは鼻の入り口近くの「キーゼルバッハ部位」からです。血管が集まり粘膜が薄いため傷つきやすく、子どもの鼻血の7〜8割がここからとされています1。
何度も繰り返します。大丈夫でしょうか?
多くは鼻いじり・乾燥・鼻炎による粘膜の荒れが原因で、成長とともに落ち着きます。ただし止まりにくい・あざができやすいなどがあれば、医療機関で相談してください4。
どんなときに受診したほうがいいですか?
20分以上圧迫しても止まらない、出血が多い、頭を打った後、繰り返して支障がある、あざができやすいときは受診を。迷えば#8000で相談できます14。
まとめ:あわてず、小鼻をつまむだけ
子どもの鼻血は、見た目のわりに、正しく対処すれば多くは家庭で止められます。大切なのは、上を向かせないこと、そして小鼻をしっかりつまんで、離さずに押さえ続けることです。
血を見るとどうしても慌ててしまいますが、やることはシンプルです。「上を向かせず、小鼻をつまむ」。これだけ覚えておけば、いざというときに落ち着いて対応できます。
参考文献
-
鼻出血(鼻血)|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/子どもの鼻血の多くはキーゼルバッハ部位からで、上を向かず小鼻を圧迫する。20分以上止まらない・頻回なら受診 https://www.jibika.or.jp/owned/contents4.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
-
How to Stop a Nosebleed|HealthyChildren.org(米国小児科学会 AAP)/座って前かがみ、寝かせない・後ろに反らせない。鼻のやわらかい部分をつまみ10分圧迫、途中で確認のため離さない https://www.healthychildren.org/English/health-issues/injuries-emergencies/Pages/How-to-Stop-a-Nosebleed.aspx ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
-
Epistaxis|StatPearls(NCBI Bookshelf, NIH)/前方鼻出血の多くはKiesselbach plexus由来。頭部を前傾させ、鼻翼を10〜15分圧迫すれば多くで止血する https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK435997/ ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Chronic Nosebleeds in Children: What To Do|HealthyChildren.org(米国小児科学会 AAP)/繰り返す鼻血の多くは鼻いじり・乾燥・鼻炎が原因。出血傾向があるとき等は評価を。加湿などの予防 https://www.healthychildren.org/English/health-issues/conditions/ear-nose-throat/Pages/Chronic-Nosebleeds-What-To-Do.aspx ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
鼻出血(子どものみみ・はな・のどの病気Q&A)|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=20 ↩
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/7/14)
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