子どもの鼻血の止め方|上を向かせないで。正しい応急処置と受診の目安を小児科医が解説
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子どもの鼻血の止め方|上を向かせないで。正しい応急処置と受診の目安を小児科医が解説

公開: 2026年7月14日 更新: 2026年7月14日

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子どもが急に鼻血を出すと、真っ赤な血にこちらまであわててしまいます。とっさに「上を向いて」と言いたくなりますが、じつはそれは逆効果です。わが家でも、上の子が乾燥する冬によく鼻血を出し、最初はどうしていいか分からず慌てました。

先に結論をお伝えします。鼻血は、座って少し前かがみになり、小鼻をつまんで押さえれば、多くはちゃんと止まります。

結論:上を向かせず、小鼻を10〜15分つまむ

子どもの鼻血の多くは、鼻の入り口近くの「キーゼルバッハ部位」からの出血で、正しく圧迫すれば家庭で止められます1。押さえておきたいのは次の3点です。

  • 上を向かせない。血がのどに流れ込み、飲み込んで吐く原因になります12
  • 座って少し前かがみ、小鼻をつまんで10〜15分圧迫。途中で離さないことがコツです23
  • 20分以上押さえても止まらない・頭を打った後・繰り返すときは受診を14

順に、正しい止め方から受診の目安まで整理します。

なぜ「上を向く」はダメなのか

鼻血が出ると、反射的に上を向かせたり、あおむけに寝かせたりしがちです。しかし、上を向くと血がのどのほうへ流れ込みます。飲み込むと気持ち悪くなったり、量が多いと吐いてしまうことがあります12。血がどれだけ出ているかも分からなくなります。

「首の後ろをトントン叩く」という昔ながらの方法も、止血の役には立ちません。子どもの鼻血で本当に効くのは、出血している場所を指で直接押さえること、ただ一つです。あわてず、次の手順で進めましょう。

正しい鼻血の止め方

1. 落ち着いて座らせ、少し前かがみにする

まず子どもを座らせ、顔を少し下(前かがみ)に向けます。寝かせたり上を向かせたりしないでください。前かがみにすると、血がのどへ流れ込みにくくなります2。子どもが不安がるので、「大丈夫、すぐ止まるよ」と声をかけながら落ち着かせてあげてください。

2. 小鼻をしっかりつまむ

鼻の下側のやわらかい部分(小鼻)を、親指と人差し指で左右からしっかりつまみます12。骨のある鼻の付け根ではなく、やわらかい部分を押さえるのがポイントです。ここを圧迫することで、出血しているキーゼルバッハ部位を直接押さえられます。

3. 10〜15分、そのまま押さえ続ける

つまんだまま、10〜15分間、指を離さずに押さえ続けます123。いちばんよくある失敗が、途中で「止まったかな」と何度も確認して離してしまうことです。そのたびに固まりかけた血がはがれ、また出血します。時計を見て時間を決め、その間は離さないでください2

4. 口で呼吸し、のどの血は吐き出す

鼻をつまんでいる間は口で呼吸します。のどに流れてきた血は、飲み込まずに口から吐き出させてください。血を飲み込むと、気持ち悪くなることがあります1

5. 止まらなければもう一度、それでもだめなら受診

10〜15分で止まらなければ、もう一度同じように圧迫します2。それでも止まらないときは、次の「受診の目安」を参考に医療機関へ。

こんなときは受診を

多くの鼻血は家庭で止められますが、次のようなときは耳鼻咽喉科や小児科(状況によっては救急)を受診してください14

  • 20分以上しっかり圧迫しても止まらない
  • 出血の量が多い・勢いが強い、顔色が悪い・ふらつく
  • 頭を打ったあとの鼻血
  • 繰り返しが多く、日常生活に支障がある(毎回なかなか止まらない)
  • 体のあちこちにあざができやすいなど、出血しやすい様子がある

とくに、あざができやすい・出血が止まりにくいといったサインがあるときは、まれに出血しやすい体質や病気が隠れていることもあるため、医療機関で相談してください4。判断に迷うときは、小児救急電話相談「#8000」も利用できます。

繰り返す鼻血——背景と予防

「うちの子、しょっちゅう鼻血を出すんです」という相談は、外来でもよくあります。子どもの鼻血の多くは、次のような理由で起こります54

  • 鼻をいじる・こする、強くかむなどの物理的な刺激
  • 空気の乾燥(とくに冬・暖房の効いた室内)
  • かぜやアレルギー性鼻炎による、鼻粘膜の腫れ・荒れ

いずれも、キーゼルバッハ部位の弱い粘膜が傷つくことが引き金です。多くは成長とともに落ち着いていきます4。予防のポイントは、次のとおりです。

  • 鼻を強くいじらない・ほじらないよう、根気よく声かけを(爪は短く清潔に)
  • 室内を加湿し、鼻粘膜の乾燥を防ぐ
  • アレルギー性鼻炎があれば、そのコントロールを主治医と相談する

冬の乾燥対策としての加湿については、加湿器の選び方でくわしく解説しています。鼻の入り口が乾いてかさぶたになりやすい場合、保湿の方法について小児科医に相談するのもよいでしょう。

よくある質問

鼻血のとき、上を向かせてはいけないのですか?

はい。上を向くと血がのどに流れ込み、飲み込んで吐く原因になります。正しくは、座って少し前かがみになり、小鼻をしっかりつまんで10〜15分押さえ続けます12

どのくらい押さえれば止まりますか?

小鼻を左右からしっかりつまみ、10〜15分連続で圧迫すれば、多くは止まります。途中で確認のために離すと再出血するので、時間まで離さないのがコツです23

鼻血はどこからの出血ですか?

多くは鼻の入り口近くの「キーゼルバッハ部位」からです。血管が集まり粘膜が薄いため傷つきやすく、子どもの鼻血の7〜8割がここからとされています1

何度も繰り返します。大丈夫でしょうか?

多くは鼻いじり・乾燥・鼻炎による粘膜の荒れが原因で、成長とともに落ち着きます。ただし止まりにくい・あざができやすいなどがあれば、医療機関で相談してください4

どんなときに受診したほうがいいですか?

20分以上圧迫しても止まらない、出血が多い、頭を打った後、繰り返して支障がある、あざができやすいときは受診を。迷えば#8000で相談できます14

まとめ:あわてず、小鼻をつまむだけ

子どもの鼻血は、見た目のわりに、正しく対処すれば多くは家庭で止められます。大切なのは、上を向かせないこと、そして小鼻をしっかりつまんで、離さずに押さえ続けることです。

  • 座って少し前かがみ。上を向かせない12
  • 小鼻をつまんで10〜15分。途中で離さない23
  • 20分以上止まらない・頭を打った後・繰り返すときは受診14

血を見るとどうしても慌ててしまいますが、やることはシンプルです。「上を向かせず、小鼻をつまむ」。これだけ覚えておけば、いざというときに落ち着いて対応できます。

参考文献

  1. 鼻出血(鼻血)|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会/子どもの鼻血の多くはキーゼルバッハ部位からで、上を向かず小鼻を圧迫する。20分以上止まらない・頻回なら受診 https://www.jibika.or.jp/owned/contents4.html 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

  2. How to Stop a Nosebleed|HealthyChildren.org(米国小児科学会 AAP)/座って前かがみ、寝かせない・後ろに反らせない。鼻のやわらかい部分をつまみ10分圧迫、途中で確認のため離さない https://www.healthychildren.org/English/health-issues/injuries-emergencies/Pages/How-to-Stop-a-Nosebleed.aspx 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

  3. Epistaxis|StatPearls(NCBI Bookshelf, NIH)/前方鼻出血の多くはKiesselbach plexus由来。頭部を前傾させ、鼻翼を10〜15分圧迫すれば多くで止血する https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK435997/ 2 3 4

  4. Chronic Nosebleeds in Children: What To Do|HealthyChildren.org(米国小児科学会 AAP)/繰り返す鼻血の多くは鼻いじり・乾燥・鼻炎が原因。出血傾向があるとき等は評価を。加湿などの予防 https://www.healthychildren.org/English/health-issues/conditions/ear-nose-throat/Pages/Chronic-Nosebleeds-What-To-Do.aspx 2 3 4 5 6 7 8

  5. 鼻出血(子どものみみ・はな・のどの病気Q&A)|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=20

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ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/7/14)

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小児科専門医・アレルギー専門医

日本小児科学会 小児科専門医 日本アレルギー学会 アレルギー専門医

専門領域

小児一般診療 アレルギー疾患(食物・アトピー・気管支喘息) 皮膚疾患 発達相談

「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」

小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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