子どものインフルエンザ予防接種|回数・時期・費用・卵アレルギー・経鼻ワクチンを小児科医が解説
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秋が深まると、外来では「今年のインフルエンザの予防接種、いつ打てばいいですか?」という質問が一気に増えます。何回打つのか、費用はどうなのか、卵アレルギーがあっても大丈夫か——毎年のことなのに、意外とあいまいなまま迷っている方が多い印象です。
この記事では、子どものインフルエンザ予防接種について、基本の考え方を整理します。
📌 本記事は一般的な解説です。ワクチンの株・供給状況・接種スケジュールはシーズンごとに変わります。2026-27シーズンの具体的な情報は、必ず厚生労働省・日本小児科学会などの最新の公的発表と、かかりつけ医の案内をご確認ください。
結論:6か月〜13歳未満は2回、流行前(10〜12月)に
子どものインフルエンザワクチンは、重症化を防ぐことが期待される任意接種です。まず押さえたいのは次の3点です。
- 生後6か月〜13歳未満は通常2回接種(2〜4週あけて、望ましくは4週)12
- 接種は流行前の10月末〜12月中旬が目安。効果が出るまで約2週間かかります1
- 子どもは任意接種(自己負担)。卵アレルギーでも多くは接種可能とされますが、事前に医師へ相談を13
順に、回数・時期・費用から、卵アレルギーや経鼻ワクチンまで見ていきます。
いつ・何回打つのか
インフルエンザワクチンの接種回数は、年齢によって決まっています12。
| 年齢 | 接種回数 | 間隔 |
|---|---|---|
| 生後6か月〜13歳未満 | 2回 | 2〜4週(望ましくは4週) |
| 13歳以上 | 原則1回 | — |
流行は例年12月ごろから翌3月ごろまで続き、1月末から3月上旬にピークを迎えることが多いです1。ワクチンは接種してから効果が出るまで約2週間かかるため、2回接種が必要なお子さんは、10月末〜11月に1回目を始め、12月中旬までに2回目を終えるのが一つの目安になります1。
ただし、流行の始まりや規模は年によって変わります。その年の状況もふまえ、早めにかかりつけ医と相談して予約を取っておくと、あわてずにすみます。とくに2回接種のお子さんは、1回目が遅れると2回目が流行本番に間に合わないことがあるので注意しましょう。
費用——子どもは任意接種
インフルエンザの予防接種には、公費で受けられる「定期接種」と、自己負担の「任意接種」があります。予防接種法にもとづく定期接種の対象は高齢者などに限られており、子どものインフルエンザ予防接種は任意接種(自己負担)です1。
金額は医療機関によって異なります。また、お住まいの自治体によっては、子どもへの費用助成を行っている場合があります。具体的な料金や助成の有無は、市区町村の情報と、接種を受ける医療機関で確認してください。
卵アレルギーでも打てる?
「卵アレルギーがあるとインフルエンザワクチンは打てない」と思っている方は少なくありません。しかし、多くの場合、接種は可能とされています3。
日本の不活化インフルエンザワクチンの添付文書では、鶏卵などにアレルギーのある方は接種前に医師に相談するよう注意が記載されています。米国では、卵アレルギーの程度にかかわらず、他の人を超える特別な追加対策は不要という考え方が示されています3。
とはいえ、これまでにアレルギー症状が強く出たことがある場合は、必ず事前にかかりつけ医に伝え、相談のうえで接種を判断してもらってください。自己判断は避けましょう。
経鼻ワクチン(フルミスト)という選択肢
注射が苦手なお子さんの選択肢として、鼻にスプレーするタイプのワクチン「フルミスト」があります。日本では2023年に承認された、弱毒生ワクチン(生きたウイルスを弱めたワクチン)で、鼻の中に噴霧して接種します45。
一方で、生ワクチンならではの注意点があります。気管支ぜんそくの発作中の方や、免疫が低下している方などには使えない場合があります45。喘息のあるお子さんや、同居のご家族に免疫の低い方がいる場合は、不活化ワクチン(注射)が勧められることがあります。どちらが向いているかは、お子さんの体質や家庭の状況をふまえて、かかりつけ医と相談して決めましょう。
ワクチンで「かからなくなる」わけではない
ここは誤解が多いところです。インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではありません。厚生労働省も、感染そのものを100%阻止する効果はないと説明しています1。
では意味がないのかというと、そうではありません。ワクチンには、発症を一定程度おさえ、重症化や入院を減らす効果が期待されています。米国CDCは、ワクチンが合った年には発症をおおむね4〜6割減らすと報告しています6。「打ったのにかかった」という声もありますが、かかっても軽くすむ、重い合併症を防ぐ、という点にワクチンの大きな意義があります。
とくに乳幼児は、インフルエンザで肺炎や脳症などの重い合併症を起こすことがあります。「かからなくする」ためというより、「重くしない」ための備えと考えると分かりやすいと思います。
同時接種・副反応について
他のワクチンとの同時接種は、医師が必要と認めれば可能です1。子どものうちは受けるワクチンが多いので、スケジュールを効率よく組むためにも、かかりつけ医に相談してみてください。
接種後の副反応として多いのは、接種した部位の赤み・腫れ・痛みや、発熱・頭痛・だるさなどです。多くは数日で軽くなります1。ごくまれに強いアレルギー反応が起こることもあるため、接種後しばらくは様子を見て、体調の変化があれば医療機関に相談してください。
なお、インフルエンザとかぜの見分け方については、インフルエンザとかぜの違いでくわしく解説しています。冬の乾燥対策としての加湿は、加湿器の選び方も参考にしてください。
よくある質問
子どものインフルエンザワクチンは、何回打つ必要がありますか?
生後6か月〜13歳未満は通常2回、13歳以上は原則1回です。2回の場合は2〜4週(望ましくは4週)あけます。流行前に2回目まで終えられるよう、早めに予約しましょう12。
いつ頃までに接種すればいいですか?
流行は例年12月〜翌3月です。効果が出るまで約2週間かかるため、2回接種の子は10月末〜11月に始め、12月中旬までに終えるのが目安です。年による違いもあるので、かかりつけ医と相談を1。
費用はどのくらいですか?
子どもは任意接種(自己負担)で、金額は医療機関により異なります。自治体の助成がある場合もあるため、市区町村と医療機関に確認してください1。
卵アレルギーがあっても打てますか?
多くは接種可能とされています。日本の添付文書では事前に医師へ相談するよう記載があります。症状が強く出たことがある場合は、必ず事前に相談してください3。
経鼻ワクチン(フルミスト)とは?
鼻にスプレーする弱毒生ワクチンで、対象は2歳以上19歳未満です。喘息発作中や免疫低下がある場合は使えないことがあり、その際は不活化(注射)が勧められます45。
まとめ:早めの計画で、流行前に備える
子どものインフルエンザ予防接種は、「かからなくする」ためというより、「重くしない」ための備えです。ポイントを整理します。
- 6か月〜13歳未満は2回。10月末〜12月中旬に、流行前を目標に12
- 子どもは任意接種(自己負担)。自治体の助成も確認を1
- 卵アレルギーでも多くは接種可能だが、事前に医師へ相談3
- 経鼻(フルミスト)は2歳以上19歳未満の選択肢。喘息などは要相談45
毎年のことだからこそ、早めに計画を立てておくと、流行本番であわてずにすみます。その年の詳しい情報は、厚生労働省・日本小児科学会の最新の発表と、かかりつけ医の案内で必ず確認してください。
参考文献
-
令和6年度 インフルエンザQ&A|厚生労働省/接種回数(6か月〜13歳未満は2回)・時期・任意接種・同時接種・副反応、感染を完全には阻止しないが発症・重症化予防に一定の効果 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2024.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16
-
知っておきたいわくちん情報 B-13 インフルエンザワクチン|日本小児科学会/小児の接種回数・間隔・効果 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-13inhuruenza20241212.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
Flu Vaccine and People with Egg Allergies|米国疾病予防管理センター(CDC)/卵アレルギーの程度を問わず追加の安全対策は不要とする考え方。日本の添付文書は事前相談を注意喚起 https://www.cdc.gov/flu/vaccines/egg-allergies.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方(2024年9月)|日本小児科学会/対象2歳以上19歳未満、生ワクチンの禁忌・慎重投与、不活化との推奨分岐 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
フルミスト点鼻液 接種を受ける人へのガイド/添付文書|医薬品医療機器総合機構(PMDA)/2023年承認、経鼻投与、対象年齢・用法・禁忌 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/430574_631370AR1026_1_00G.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
Vaccine Effectiveness: How Well Do Flu Vaccines Work?|米国疾病予防管理センター(CDC)/ワクチンが合った年には発症をおおむね40〜60%低減。重症化・入院・死亡を減らす https://www.cdc.gov/flu/vaccines-work/vaccineeffect.htm ↩
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/7/14)
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