離乳食の固さは「歯の本数」で見直す|噛む力の育て方と虫歯リスクを小児科医が解説
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「本に書いてある月齢どおりに固さを上げたら、うまく食べられなくなった」。離乳食の相談で、外来でもよく聞く声です。わが家でも、上の子のときは月齢の表とにらめっこして、進み具合に一喜一憂していました。
離乳食の固さには月齢の目安がありますが、実際にはお子さんの口と歯の発達に合わせて見直すことが大切です。とくにカギになるのが、奥歯の生え方です。この記事では、まず固さの段階と月齢の目安を押さえます。そのうえで、なぜ「歯の本数(発達)」で見直すとよいのか、噛む力の育て方、噛むことが虫歯予防につながる理由を順に整理します。
結論:月齢は目安、実際は「口と奥歯の発達」で合わせる
先に要点をお伝えします。
- 固さの月齢表は目安。同じ月齢でも口や歯の発達には個人差があります
- 食べ物をすりつぶすのは奥歯。奥歯が生えそろうまでは歯ぐきでつぶせる固さが基本です
- 前歯しかない時期に固いものを与えると丸のみ・窒息のリスク。歯の生え方に合わせて上げていきます
つまり、表の月齢を絶対視するより、「今この子はちゃんと噛めているか」を見るほうが確実です。まずは固さの段階から見ていきます。
離乳食の固さ、4つの段階
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の進み方が段階で示されています1。固さと歯の状態をあわせて整理すると、次のようになります(段階の考え方は同ガイドに基づき、食品の例は一般的な目安です)。
| 時期(目安) | 固さの目安 | 食べ方 | 歯の状態の目安 |
|---|---|---|---|
| 5〜6か月ごろ | なめらかにすりつぶした状態(ポタージュ状) | 舌で送り込んで飲み込む | 歯はまだない |
| 7〜8か月ごろ | 舌でつぶせる固さ(絹ごし豆腐くらい) | 舌で上あごに押しつけてつぶす | 下の前歯が生え始める |
| 9〜11か月ごろ | 歯ぐきでつぶせる固さ(熟れたバナナくらい) | 歯ぐきでもぐもぐつぶす | 前歯が上下に増える |
| 12〜18か月ごろ | 歯ぐきで噛める固さ(肉だんごくらい) | 歯ぐきや生えはじめた奥歯で噛む | 奥歯(乳臼歯)が生え始める |
大事なのは、この月齢はあくまで目安だということです。表より少し遅くても、その子のペースで上手に食べられているなら問題ありません。逆に、月齢が来たからと急いで固くすると、噛みつぶせずに丸のみする原因になります。
なぜ「歯の本数(発達)」で見直すのか
固さを歯の発達で考えると、失敗が減ります。ポイントは、歯には役割分担があることです。
前歯は「かじり取る」歯で、食べ物を「すりつぶす」のは奥歯(乳臼歯)の役割です。ところが奥歯が生えてくるのは1歳過ぎ〜1歳半ごろから。日本小児歯科学会も、奥歯がかみ合うようになるのが噛む機能の発達の節目だとしています2。
つまり、前歯が上下に8本そろっていても、奥歯がなければ固いものはすりつぶせません。この時期に大人の感覚で固いものを与えると、噛みつぶせません。丸のみして、のどに詰まらせる危険があります。奥歯が生えそろうまでは、歯ぐきでつぶせる固さを基本にして、歯の生え方に合わせて少しずつ上げていくのが安全です。
「月齢の表ではもう次の段階だけど、まだ奥歯がないな」というときは、歯の発達を優先してあげてください。
詰まりやすい食品に気をつける
固さと同じくらい大切なのが、詰まりやすい食品への注意です。消費者庁も、食品による子どもの窒息・誤嚥の事故に繰り返し注意を促しています3。とくにミニトマト・ぶどう・さくらんぼのように丸くてつるっとしたもの、ナッツや豆、餅、生のにんじんやりんごのかたまりは要注意です。
防ぐコツはシンプルです。丸いものは4分の1程度に小さく切る、かたいものはやわらかく加熱する、食べているあいだは目を離さず、遊び食べや歩き食べをさせない。これだけで多くの事故は防げます。もし詰まらせて激しく咳き込んだり、息がしづらそうなときは、背中を強くたたく(背部叩打)などの応急対応をしながら、ためらわず119番に連絡してください。
噛む力を育てる3つのコツ
噛む力は、練習の機会があってこそ育ちます。以前、同僚の小児歯科医と話したときも、この「練習の機会」が要だという点で一致しました。家庭でできる工夫を挙げます。
- 急がない:うまく食べられないときは一段階戻す。焦って固くしないことが、結果的に噛む力を育てます
- 前歯でかじり取る経験を:スティック状の野菜など、自分でひと口分をかじり取らせると、量の調整と噛む練習になります
- 水やお茶で流し込ませない:食事中の水分は少なめに。飲み物で流し込む癖がつくと、噛まずに済ませてしまいます
- 足のつく姿勢で食べる:足の裏が床や足台につくと、あごに力が入り、しっかり噛みやすくなります
やわらかいものばかりが続くと、噛む必要がないため、噛む力が育ちにくくなります。その子の発達に合った「少しだけ噛みごたえのある固さ」を選ぶことが、噛む力を伸ばすいちばんの近道です。
噛むことは、虫歯予防にもつながる
よく噛むことには、口の健康を守る面もあります。噛む回数が増えると唾液が出て、口の中の自浄が促されます4。
一方で、注意したい食べ方もあります。甘い飲み物やお菓子をだらだらと口にする習慣は、口の中が酸性の状態を長く保ち、虫歯のリスクを高めます。糖は、一度にとる量よりも、口にする回数(頻度)のほうが虫歯リスクに関わります。よく噛んで食べる食習慣と、糖のとり方に気をつけることは、噛む力を育てることとセットの、口の健康づくりです。
そして、下の前歯が生えてきたら、歯みがきのスタートです。最初はガーゼでぬぐう、慣れてきたら乳児用の歯ブラシに移行します。奥歯が生えてきたら、溝に汚れがたまりやすいので、仕上げみがきでしっかりケアしてあげてください。
歯みがき剤を使う場合は、年齢に合ったフッ素濃度・使用量のものを選びましょう。具体的な選び方や使い方は、歯科健診で相談すると安心です。
まとめ
離乳食の固さは、月齢の表を絶対視するより、お子さんの口と歯の発達に合わせるのが確実です。とくに、すりつぶしを担う奥歯が生えそろうまでは、歯ぐきでつぶせる固さを基本にしてください。そのうえで押さえておきたい点は次のとおりです。
- 固さの月齢はあくまで目安。「今ちゃんと噛めているか」を見て段階を調整します
- 前歯しかない時期の固いものは丸のみ・窒息のリスク。丸い食品は小さく切り、目を離さないことを
- よく噛むことは唾液を促し、虫歯予防にもつながります。糖は量より頻度に気をつけて
- 前歯が生えたら歯みがきのスタート。奥歯が生えたら仕上げみがきでケアを
その子のペースを見ながら、あわてず段階を上げていけば大丈夫です。心配なときは、歯科健診や小児科・歯科で相談してみてください。
医師確認済み
labo-pediatricianが「全文」を確認 (2026/7/10)
最終更新: 2026年7月10日
参考資料
あわせて読みたい
- 子どもの虫歯予防|フッ素・仕上げみがき・食習慣の基本
- 乳歯が生える順番と時期|歯の生え方と気をつけること
- シーラントは効果ある?6歳臼歯の虫歯予防を小児科医が解説
- 子ども用歯ブラシの選び方|年齢別の選び方と仕上げみがき
参考文献
-
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html ↩
-
日本小児歯科学会「産まれてから2歳頃まで」 https://www.jspd.or.jp/question/2years_old/ ↩
-
消費者庁「子ども安全メール」(食品による窒息・誤嚥の事故防止) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/ ↩
-
日本小児歯科学会「食育推進についての日本小児歯科学会からの提言」 https://www.jspd.or.jp/recommendation/article07/ ↩
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/7/10)
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