子どものアトピー夏対策|汗・プール・日焼けによる悪化を防ぐケアと薬の使い方
この記事の目次
- まず知っておきたい結論
- なぜ夏にアトピーは悪化するのか
- 原因① 汗
- 原因② プールの塩素
- 原因③ 紫外線
- 汗対策:「洗う」の実践
- こまめなシャワーが基本
- 吸湿性の高い素材を選ぶ
- エアコンの使い方
- プール対策:前後のケアで参加できる
- プールに入る前
- プールから出た後
- プール参加の判断基準
- 日焼け対策:敏感肌向けの日焼け止め選び
- ノンケミカルタイプを基本に
- 無香料・無着色を確認する
- ステロイド外用薬の夏の使い方
- 塗るタイミング
- 日焼け止めとの塗る順番
- 夏休みでも治療を続ける
- よくある質問
- Q1: プールに入ると必ずアトピーが悪化しますか?
- Q2: 汗をかくたびシャワーは現実的ではないのですが、どうすればよいですか?
- Q3: ステロイド外用薬と日焼け止めは、どちらを先に塗ればよいですか?
- 汗をかくたびにシャワーを浴びさせるのは現実的ではないのですが、どうすればよいですか?
- まとめ
- あわせて読みたい
- 参考文献
広告表記本記事にはPR(アフィリエイト広告)を含みます。詳細は記事末尾をご覧ください。
「夏になると毎年アトピーが悪化して困っている」「プールの後に湿疹がひどくなった」「日焼け止めを塗っていいのかわからない」——7月から8月にかけて、こうした相談が外来で急増します。
アトピー性皮膚炎は、夏に悪化しやすい疾患です。ただ、理由を理解した上で対策を取れば、悪化のサイクルをかなり小さくできます。この記事では、夏に悪化する3つの原因と、それぞれへの具体的な対処法を解説します。
まず知っておきたい結論
悪化を防ぐ3原則は、「洗う・塗る・避ける」です。この3つを状況に応じて使い分けることが、夏のアトピー管理の核心です。
- ✅ 汗をかいたらすぐ洗い流す(シャワーか濡れタオルで)
- ✅ 洗った後は必ず保湿剤を塗る
- ✅ 症状が強い時期は直射日光と塩素への長時間曝露を避ける
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、汗・紫外線・プール水は悪化因子として明示されており、これらへの対策は治療の一環と位置づけられています1。
なぜ夏にアトピーは悪化するのか
原因① 汗
汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子として最も頻度が高いものです。「汗をかくこと自体が悪い」わけではなく、汗が皮膚上に残り続けることが問題です。
汗の成分のうち、塩化ナトリウム(食塩)や汗タンパク(特にデルマシジン)が、バリア機能が低下したアトピー肌を刺激します。かゆみが生じて掻き壊すと炎症が悪化し、さらにバリア機能が低下する——という悪循環に入りやすいのです。
「公園から帰ってきて汗だくのまま夕方まで過ごしてしまった」という状況が、翌日の悪化につながります。これは診察室でも毎年夏に繰り返し確認するパターンです。帰宅直後にシャワーを浴びる習慣を作ることが、夏のアトピー管理で最も効果的な一手です。
原因② プールの塩素
プールの消毒に使われる塩素は、皮膚の脂質を溶かし、バリア機能をさらに低下させます。特に長時間プールに入り続けた後に湿疹が悪化するパターンが多いです。
ただし、プール自体が「禁止」というわけではありません。日本小児アレルギー学会の管理ガイドラインでも、症状がコントロールされている状態であれば、適切なケアを行ったうえでプールに参加することは可能とされています2。
もう一点注意したいのは、プールでの感染リスクです。アトピーがある子どもは皮膚バリアが弱く、伝染性膿痂疹(とびひ)をはじめとする皮膚感染症にかかりやすい状態です。プール後のシャワーと保湿はそういった意味でも重要です。
原因③ 紫外線
紫外線は皮膚に酸化ストレスをかけ、炎症反応を引き起こします。アトピーの皮膚では特に影響を受けやすく、日焼けをきっかけにしばらくしてから湿疹が広がることがあります。
夏の強い日差しの中で長時間過ごした後、2〜3日してから「急に全身が赤くなった」というケースを外来でも見かけます。その多くは、日焼けが引き金になっています。
📋 エビデンス
アトピー性皮膚炎の悪化因子として、発汗・紫外線・プール水(塩素)が挙げられており、これらへの対策は日常的なスキンケアと並んで重要な管理事項とされている。
出典: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024 ↗汗対策:「洗う」の実践
こまめなシャワーが基本
汗をかいた後の対応は、シャワーが最も効果的です。石けんを使う必要はありません。ぬるめの湯(38〜40℃)でさっと流すだけで十分です。
外出中でシャワーを使えない場合は、水で湿らせたガーゼやタオルを使います。「ゴシゴシ拭く」のは禁物です。やさしく押さえるようにして汗を吸い取ります。
自宅に戻ったら、洗い流した後に保湿剤を塗ることを忘れないでください。洗い流すだけで終わると、乾燥が進んでかえってかゆみが増します。
吸湿性の高い素材を選ぶ
衣類は肌に直接触れるため、夏のアトピーに大きく影響します。合成繊維のポリエステルは汗をため込みやすく、刺激になることがあります。綿100%素材や、吸汗速乾性の高い機能性素材を選ぶと、汗による刺激を軽減できます。
首まわり・脇・膝の裏・肘の内側は特に汗がたまりやすい部位です。これらの部位を意識して、汗取りパッドや汗取り素材を活用することも選択肢になります。
エアコンの使い方
エアコンは「使わない方がいい」のではなく、「上手に使う」のが正解です。室温が28℃を超えると発汗量が増え、アトピーへの影響が出やすくなります。
ただし、エアコンの使いすぎで乾燥が強まるのも問題です。室内湿度50〜60%を目安に、加湿器と組み合わせて調整するのが理想的です。就寝時は冷風が直接肌に当たらないよう、風向きにも気をつけてください。
プール対策:前後のケアで参加できる
プールに入る前
プールのある日は、朝の保湿をいつもより少し丁寧にします。保湿剤を薄めに塗り、皮膚を塩素の刺激から守るイメージです。ワセリン系の保湿剤は特に被膜形成効果があり、プール前に向いています。
傷がある場合や、活動期でじくじくした湿疹がある場合は、プールへの参加を担当医に相談してください。とびひ(伝染性膿痂疹)がある時は、他の子への感染拡大防止のためにも、完治するまでプールは控えます。
プールから出た後
プールから出たら、できるだけ早くシャワーを浴びて塩素を落とします。これがプールケアで最も重要なステップです。その後、保湿剤を塗り直してください。
処方された外用薬(ステロイドなど)がある場合は、帰宅後にシャワーを浴びてから塗り直します。プールから出てすぐ塗っても、汗や残った塩素でうまく吸収されません。
水泳後は特に肌が乾燥しやすい状態になっています。保湿剤はケチらず、しっかり量を使ってください。
プール参加の判断基準
主治医から「プールはOK」と言われていても、その日の状態によって判断が変わることがあります。
プールを控えた方がよいサインは以下の3つです。いずれかに該当する場合は担当医に相談を。
- 湿疹がじくじくしている、または滲出液が出ている
- とびひ(伝染性膿痂疹)の疑いがある
- 傷が多く開いている状態
逆に、保湿と外用薬でコントロールが安定していて、皮膚が比較的落ち着いている時期なら、プールに参加して構いません。
日焼け対策:敏感肌向けの日焼け止め選び
アトピーのある子への日焼け止め選びについては「アトピー・敏感肌の子どもの日焼け止め選び」で詳しく解説していますが、ここでは夏のアトピーケアとして押さえておくべきポイントに絞って説明します。
ノンケミカルタイプを基本に
日焼け止めには「紫外線吸収剤」を使うタイプと「紫外線散乱剤」のみを使うタイプ(ノンケミカル・紫外線散乱剤のみ)があります。アトピーのある子には、ノンケミカルタイプ(酸化亜鉛・酸化チタンのみ使用)が第一選択です。
紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸誘導体など)は皮膚への浸透性があり、バリアが弱いアトピー肌では刺激になる可能性があります。ノンケミカルタイプはベタつきが出やすいことが多いですが、最近は伸びが改善された製品も増えています。
無香料・無着色を確認する
香料・着色料・防腐剤(特にパラベン系)はアトピー肌への刺激になりやすいです。成分表を確認し、これらが含まれていない製品を選んでください。
「敏感肌用」「赤ちゃん用」と書かれていても、香料が含まれていることがあります。ラベルの謳い文句ではなく、成分表を確認する習慣をつけてください。
また、新しい日焼け止めを使う前は、腕の内側など皮膚の薄い部位で2〜3日試してみることをすすめます。かゆみや赤みが出ないことを確認してから全身に使い始めてください。
ステロイド外用薬の夏の使い方
夏だからといって、ステロイド外用薬を勝手に中断したり減らしたりしないでください。「暑いから体に悪そう」という印象を持つ方もいますが、医師が処方した量と頻度を守って使い続けることが症状コントロールの基本です。
塗るタイミング
夏は汗・プール・日焼け止めが絡むため、ステロイド外用薬を塗るタイミングが迷いやすくなります。基本的なルールを整理します。
入浴・シャワー後に塗る: 肌が清潔で、適度な湿り気がある状態が最もよく吸収されます。湿疹部位を中心に、処方された量を塗ります。
プール後は帰宅後のシャワーの後で: プールから出てすぐではなく、帰宅してシャワーを浴びて塩素を落としてから塗ります。プールの塩素が残った状態では吸収が安定しません。
汗をかいた後はまず洗い流してから: 汗が残った皮膚に外用薬を塗っても、吸収が妨げられ効果が出にくいです。まず汗を洗い流し、乾いた状態で塗ります。
日焼け止めとの塗る順番
ステロイド外用薬と日焼け止めを両方使う日(外出する日)は、ステロイド外用薬を先に塗り、5〜10分なじませてから日焼け止めを重ねます。
逆の順番(日焼け止め→ステロイド)にすると、日焼け止めの成分が皮膚表面を覆い、ステロイドの吸収が妨げられる可能性があります。
帰宅後は日焼け止めを丁寧に洗い落とします。石けんを使ってやさしく洗い、しっかりすすいでください。その後にもう一度ステロイド外用薬を塗ります。
夏休みでも治療を続ける
旅行や帰省で生活が変わる夏休みは、外用薬の塗り忘れが増える時期です。「症状が落ち着いているから少し休んでもいいか」と自己判断で減量・中断すると、帰宅後に激しい悪化(リバウンド)が起きることがあります。
旅行先でも外用薬は必ず持参し、いつも通りのルーティンを続けてください。旅行前に受診して、薬の量が十分か確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1: プールに入ると必ずアトピーが悪化しますか?
症状が安定している時期なら、適切なケア(前後の保湿、シャワーで塩素を流す)を行えばプールを楽しめることが多いです。湿疹が活動期でじくじくしているときや、とびひがある時は控えてください。事前にかかりつけ医に相談するのが安心です。
Q2: 汗をかくたびシャワーは現実的ではないのですが、どうすればよいですか?
毎回シャワーが難しい場合は、水で濡らしたガーゼやハンドタオルで汗をやさしく拭き取るだけでも効果があります。汗が乾いた後に残る塩分と汗タンパクが刺激になるので、できるだけ早く対処することが大切です。帰宅後に1回シャワーを浴びるルーティンから始めると続けやすいです。
Q3: ステロイド外用薬と日焼け止めは、どちらを先に塗ればよいですか?
ステロイドなどの外用薬を先に塗り、5〜10分程度なじませてから日焼け止めを重ねます。帰宅後は日焼け止めを丁寧に洗い落としてから外用薬を塗り直してください。
汗をかくたびにシャワーを浴びさせるのは現実的ではないのですが、どうすればよいですか?
毎回シャワーが難しい場合は、水で濡らしたガーゼやハンドタオルで汗をやさしく拭き取るだけでも効果があります。汗が乾いた後に残る塩分と汗タンパクが刺激になるので、できるだけ早く拭き取ることが大切です。帰宅後に1回シャワーを浴びるルーティンから始めると続けやすいです。
まとめ
アトピーのある子どもの夏は、汗・プール・紫外線という3つの悪化因子に対して、それぞれ意識的に対処することが必要です。
3つの悪化因子それぞれへの対策をまとめます。
汗はかいたらすぐ洗い流す。吸湿素材の服でためにくくする。プールは前後の保湿を徹底する。活動期は担当医に相談してから参加を決める。紫外線にはノンケミカルの日焼け止めで対策し、帰宅後は丁寧に落とす。ステロイド外用薬は夏も勝手に減らさず、塗る順番と塗るタイミングを守って継続する。
「毎年夏になると悪化する」と諦めていた方も、これらを意識するだけでシーズンを通してのコントロールが改善することは十分にあります。
アトピーの基礎から治療の全体像を理解したい場合は「子どものアトピー性皮膚炎の基礎知識」もあわせてお読みください。
あわせて読みたい
医師確認済み
labo-pediatricianが「全文」を確認
参考文献
-
日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/134/11/134_2741/_article/-char/ja/ ↩
-
日本小児アレルギー学会「小児アトピー性皮膚炎治療・管理ガイドライン2024」 https://www.jspaci.jp/news/both/20241102-5045/ ↩
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/6/27)
関連記事

こどもの熱中症対策|幼児がなりやすい理由と予防・応急処置【2026年版】
子どもは発汗能力が大人の約6割と体温調節が未熟で、地面に近いぶん体感温度も高く、熱中症になりやすい存在です。幼児がなりやすい4つの理由、WB…

とびひの感染力と隔離期間 — 「抗生剤を飲んだら翌日から」が正解の理由
とびひ(伝染性膿痂疹)の感染力は、抗生剤の内服開始後24〜48時間で大きく低下します。『完治まで登園禁止』という固定基準は法律になく、患部を…

水痘(みずぼうそう)とは?発疹の経過・登園の目安・ワクチン2回接種を小児科医が解説
水痘(みずぼうそう)は、かゆみのある発疹が紅斑→水疱→かさぶたと変化していく感染症です。園や学校に戻れるのは「すべての発疹がかさぶたになって…
ラボの小児科医
小児科専門医・アレルギー専門医
専門領域
「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」
小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。
当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています。詳しくは広告についてをご覧ください。