保育園・幼稚園の冬の感染症カレンダー — 月別の流行と登園再開の目安
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保育園・幼稚園の冬の感染症カレンダー — 月別の流行と登園再開の目安

公開: 2026年8月31日 更新: 2026年8月31日
この記事の目次 10項目

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📋 エビデンス

この記事の医学的内容は、日本小児科学会・こども家庭庁・厚生労働省・JIHS(国立健康危機管理研究機構)の公式資料に基づいています。個別の診断・登園判断は、必ずかかりつけの小児科医にご相談ください。

出典: ↗

11月の日曜、やっと熱が下がったと思ったら、今度は下の子が吐き始める。月曜の朝、仕事に行けるかどうかを保育園からの電話に賭けている――。冬の子育て家庭では、こんな綱渡りが毎週のように続きます。

「また熱?先週治ったばかりなのに」。外来でも、この時期はこの言葉を何度も聞きます。私自身も二児の父として、冬は家族のだれかが必ず何かをもらってくる季節だと実感しています。

冬の感染症は、やみくもに怖がる必要はありません。どの病気がいつ流行り、どんな症状で、いつから登園できるのか。この地図を持っているだけで、冬の綱渡りはずいぶん歩きやすくなります。


この冬の感染症カレンダー(結論先出し)

保育園・幼稚園の冬は、インフルエンザ・感染性胃腸炎・溶連菌・RSウイルスが流行の中心で、登園再開は感染症ごとに定められた出席停止・登園再開の基準に沿って判断します。

  • 初冬(10〜11月)はRSウイルスとマイコプラズマ肺炎、真冬(12〜3月)はインフルエンザとノロ・ロタなどの感染性胃腸炎が主役
  • 溶連菌は冬と春〜初夏の年2回、流行の山がある
  • 登園再開の基準は「法律で定められた感染症」と「園ごとの登園のめやす」の2階建てになっている
  • インフルエンザは熱が下がった翌日には登園できない(発症後5日かつ解熱後2〜3日が必要)
  • 家庭内では、感染性胃腸炎の連鎖を止める手洗いと吐物処理が有効な備え

月別・冬の感染症カレンダー

冬の感染症は、時期をずらして波のようにやってきます。おおまかな流行の目安を月別に整理しました。

時期流行しやすい主な感染症
10〜11月RSウイルス感染症(近年は夏〜秋に前倒し、初冬まで続くことがある)、マイコプラズマ肺炎(増え始め)
11〜12月インフルエンザ(流行入り)、マイコプラズマ肺炎(ピーク)、溶連菌感染症
12〜1月インフルエンザ、感染性胃腸炎(ノロウイルス)、新型コロナウイルス
1〜3月感染性胃腸炎(ノロ・ロタ)、インフルエンザ(後半の波)、溶連菌感染症

RSウイルスはかつて秋の感染症でしたが、近年は流行の時期が変則的です。JIHSの発生動向でも、2018〜2019年は例年9月中旬にピークだった一方、2021年は7月中旬に早まるなど、夏から秋にかけて流行するパターンが目立ちます1。冬の入り口まで長引くこともあるため、初冬まで油断できません。

マイコプラズマ肺炎は年間を通してみられますが、近年は秋から真冬(おおむね10月中旬〜翌1月中旬にあたる第42週〜翌年第2週ごろ)にかけてピークを迎える傾向があります。数年おきに大きな流行がある点も特徴です2

外来でも、11月に入ると咳の長引く子が一気に増えます。「1週間以上、コンコンした咳が続く」というときは、マイコプラズマの可能性も考えて診察しています。


感染症ごとの症状と登園再開の目安

冬に多い感染症を、症状と登園再開の目安の順に整理します。

インフルエンザ

高熱(38〜39℃以上)が急に出て、関節痛・倦怠感・咳・鼻水を伴います。例年、冬(12〜3月ごろ)に流行します3

登園の再開は、学校保健安全法施行規則に基づき「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」出席停止とされています4。熱が下がってすぐには登園できない点に注意してください。

感染性胃腸炎(ノロ・ロタウイルス)

突然の嘔吐で始まり、下痢・腹痛・発熱が続きます。ノロウイルスは12月から3月をピークに全国的に流行し、潜伏期間は1〜2日と短いのが特徴です5。ロタウイルスも冬から春にかけてみられ、乳幼児では白っぽい下痢を起こすことがあります6

登園の再開は、園ごとの登園のめやすで「嘔吐・下痢などの症状が治まり、普段の食事がとれること」が目安とされています7。回復後も便にウイルスが排出されるため、家庭でも手洗いを続けてください。

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌)

のどの痛み・発熱・イチゴ舌・体の発疹が出ます。冬と、春から初夏にかけての年2回、流行の山があり、潜伏期間は2〜5日です8。抗菌薬がよく効きますが、指示された日数はきちんと飲みきることが大切です。

登園の再開は「抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること」が目安とされています7。外来でも、この24〜48時間という数字を知らずに翌日登園させてよいか悩む保護者は多く、同じ質問を毎冬のように受けます。

RSウイルス感染症

鼻水・咳から始まり、乳児では「ゼーゼー」という喘鳴や呼吸の苦しさにつながることがあります。特に生後6か月未満では重くなりやすい感染症です。

登園の再開は「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」が目安とされています7。上の子がRSウイルスをもらってくると、まだ小さい下の子にうつらないか気がかりです。

マイコプラズマ肺炎

発熱と、しつこく長引く乾いた咳が特徴です。比較的元気に見えても咳が続くのが典型的で、抗菌薬の種類が通常の細菌とは異なります。

登園の再開は「発熱や激しい咳が治まっていること」が目安とされています7

新型コロナウイルス感染症

発熱・咳・鼻水・のどの痛みなど、風邪と見分けにくい症状が中心です。冬にも流行の波があります。

登園の再開は、学校保健安全法施行規則に基づき「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」出席停止とされています4

出席停止・登園再開の目安(早見表)

感染症登園再開の目安
インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止4
新型コロナウイルス発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで出席停止4
溶連菌感染症抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること7
感染性胃腸炎(ノロ・ロタ等)嘔吐・下痢が治まり、普段の食事がとれること7
RSウイルス感染症呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと7
マイコプラズマ肺炎発熱や激しい咳が治まっていること7

「出席停止」と「登園届」は別物です

冬の登園判断が混乱しやすいのは、基準が2種類あるからです。ここを分けて理解しておくと、園とのやり取りがぐっと楽になります。

ひとつは、学校保健安全法施行規則で出席停止期間が法律として定められている感染症。インフルエンザ・新型コロナ・麻しん・水痘などがこれにあたり、医師が記入する「意見書」を園から求められることがあります4

もうひとつは、園がそれぞれ定める「登園のめやす」で判断する感染症。溶連菌・感染性胃腸炎・マイコプラズマ・RSウイルス・手足口病などがこれにあたり、保護者が記入する「登園届」で足りることが多いです7

どちらの扱いになるか、どの書類が必要かは園ごとに運用が違います。診断がついたその場で、園に「意見書と登園届、どちらが要りますか」と確認しておくと、復帰の朝にあわてずに済みます。


家庭内感染の連鎖を止める

冬にいちばん消耗するのは、一つの感染症が家庭の中を順番に回っていくときです。特に感染性胃腸炎は感染力が強く、「家族で次々にかかって全滅した」という声を毎冬のように耳にします。

連鎖を止める鍵は、吐物・便の処理と手洗いです。

  • 嘔吐物は使い捨て手袋とペーパーで外側から内側へ拭き取り、塩素系漂白剤を薄めた液で消毒する
  • おむつ替えやトイレのあと、食事の前は石けんで手を洗う(アルコール消毒はノロには効きにくい)
  • タオルの共用を避け、症状のある家族の食器は分けて洗う

きょうだいのうち一人が発症しても、症状のない子は登園できるのが原則です。ただしノロ・ロタの潜伏期間は1〜2日と短く、まだ症状が出ていないだけということもあります5。下の子に嘔吐や下痢が出たら、その日は無理をさせないでください。

わが家でも、上の子が胃腸炎になった週は、洗面所にペーパータオルと消毒液を出しっぱなしにして「拭いて捨てる」を徹底します。地味ですが、これが効きます。


予防:ワクチンと基本の対策

冬の感染症すべてにワクチンがあるわけではありませんが、重い病気を防ぐ手段はいくつかあります。

季節性インフルエンザワクチンは生後6か月から接種できます。6歳未満を対象とした研究では発病防止に一定の有効性が報告されていますが、乳幼児は定期接種の対象ではなく任意接種です。接種量は6か月〜3歳未満で0.25mLを2回、3歳〜13歳未満で0.5mLを2回とされています3

新型コロナワクチンは、2025/26シーズンの日本小児科学会の考え方では、健康な子ども(生後6か月〜17歳)は保護者の希望とかかりつけ医との相談に基づいて接種でき、基礎疾患のある子には接種が勧められています9

胃腸炎の代表であるロタウイルスには、0歳児を対象とした定期接種のワクチンがあります。飲むタイプで、5価ワクチンは生後6〜32週に3回、1価ワクチンは生後6〜24週に2回接種します6。接種できる期間が短いため、早めにスケジュールを確認してください。

そして、地味でも頼りになるのが手洗いです。後輩のママさん医師とも「結局、帰宅後の手洗いが土台だよね」とよく話しています。園から帰ったら手を洗う、この習慣が冬を乗り切る土台になります。


📋 エビデンス

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療・登園判断を行うものではありません。お子さんの症状や登園の可否については、必ずかかりつけの医師と園にご相談ください。

出典: ↗

よくある質問

上の子が胃腸炎になりました。症状のない下の子は保育園に行かせていいですか?

きょうだいが感染性胃腸炎になっても、症状のない子は登園できるのが原則です。ただしノロ・ロタなどの潜伏期間は1〜2日と短く、まだ症状が出ていないだけで感染が始まっていることがあります。家庭内でのトイレ後・食事前の手洗いを徹底し、下の子に嘔吐・下痢・発熱が出たらその日は登園を控えてください。判断に迷うときは登園前に園と相談すると安心です。

熱が下がれば、翌日から保育園に行っていいですか?

感染症によって基準が違います。インフルエンザは学校保健安全法施行規則で「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められており、熱が下がった翌日には登園できません。一方で溶連菌や感染性胃腸炎は施設ごとの登園のめやすで判断され、抗菌薬内服後24〜48時間、あるいは嘔吐・下痢が治まって普段の食事がとれることが目安になります。感染症名がわかったら、その病気の基準を確認してください。

「保育園の洗礼」で毎月熱を出します。免疫が弱いのでしょうか?

多くの場合、免疫が弱いわけではありません。集団生活を始めた0〜2歳の子は、それまで出会わなかったウイルスに次々と接するため、入園1年目は発熱や風邪症状を繰り返しやすくなります。多くの子は1〜2年で頻度が落ち着いていきます。ただし、ぐったりして水分がとれない・呼吸が苦しそう・発熱が5日以上続くといったサインがあるときは、回数に関わらず受診してください。

インフルエンザやコロナのワクチンは、子どもも打ったほうがいいですか?

季節性インフルエンザワクチンは生後6か月から接種でき、乳幼児では発病を一定程度防ぐ効果が報告されていますが、乳幼児は定期接種の対象ではなく任意接種です。新型コロナワクチンは、2025/26シーズンの日本小児科学会の考え方では、健康な子どもは保護者の希望とかかりつけ医との相談に基づいて接種できるとされ、基礎疾患のある子には接種が勧められています。かかりつけ医に相談して判断してください。

登園を再開するときに、病院の書類は必ず必要ですか?

感染症の種類と園の方針によります。インフルエンザや新型コロナなど学校保健安全法施行規則に沿う感染症では、医師が記入する「意見書」を求める園があります。一方、溶連菌や感染性胃腸炎などは、保護者が記入する「登園届」で足りることが多いです。どの書類が必要かは園ごとに運用が異なるため、診断がついた時点で園に確認しておくと、登園再開がスムーズです。


まとめ

冬の感染症は、時期・症状・登園再開の基準をひとつの地図にしておくと、毎回の判断がぐっと楽になります。

  • 初冬はRSウイルスとマイコプラズマ、真冬はインフルエンザと感染性胃腸炎が流行の中心
  • 登園再開は「法律で定められた感染症」と「園ごとの登園のめやす」の2種類の基準で決まる
  • インフルエンザは解熱してすぐには登園できない(発症後5日かつ解熱後2〜3日)
  • 家庭内感染の連鎖は、吐物処理と手洗いで止める
  • ワクチンで防げる病気(インフルエンザ・新型コロナ・ロタ)は、かかりつけ医と相談して備える

熱を出すたびに落ち込む必要はありません。冬の流行を一つずつくぐり抜けながら、子どもは少しずつ強くなっていきます。困ったときは、この記事とかかりつけ医を頼ってください。

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参考資料

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参考文献

  1. JIHS RSウイルス感染症の発生動向 https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrs/11487-rsv-20220916.html

  2. JIHS マイコプラズマ肺炎の発生状況 https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/mycoplasma-pneumoniae-infection/20240919/index.html

  3. 厚生労働省 インフルエンザ予防接種(季節性)情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html 2

  4. 日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 https://www.jpeds.or.jp/general/guidelines/post-153330.html 2 3 4 5

  5. JIHS(国立健康危機管理研究機構)ノロウイルス感染症(詳細版) https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/norovirus-infection/detail/index.html 2

  6. JIHS ロタウイルスによる感染性胃腸炎 https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/rotavirus-infectious-gastroenteritis/index.html 2

  7. こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」登園のめやす https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1fa64474-22c1-4eae-8945-c9ad7e515db8/174eb8e5/20230401_councils_hoiku-kansen-gl_050426_09.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9

  8. JIHS A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/group-a-streptococcal-infection/index.html

  9. 日本小児科学会「2025/26シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」 https://www.jpeds.or.jp/society-activities/post-156956.html

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小児一般診療 アレルギー疾患(食物・アトピー・気管支喘息) 皮膚疾患 発達相談

「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」

小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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