1歳半健診・3歳児健診で何を診ている?「ひっかかった」の不安に小児科医が答えます
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1歳半健診・3歳児健診で何を診ている?「ひっかかった」の不安に小児科医が答えます

公開: 2026年6月27日 更新: 2026年7月17日

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「1歳半健診でひっかかりました」——外来でこう切り出すお母さんの表情には、決まって緊張が滲んでいます。積み木が積めなかった、指差しをしなかった、名前を呼んでも反応が薄かった。そのあと「経過観察」と言われたけれど、何をどうすればいいかわからないまま帰ってきた、というケースは少なくありません。

この記事では、1歳半健診と3歳児健診が実際に何を見ているのか、「経過観察」と言われた後の具体的な過ごし方、そして再検査・紹介状が出た場合の流れをまとめました。健診の目的を正しく知ることで、不安の形が変わります。

結論: 「ひっかかった」は選別ではなく、早期支援への入り口です

健診でひっかかることは珍しくなく、3歳児健診ではおよそ4人に1人が何らかの指摘を受けるとされています1。「問題がある」という宣告ではなく、「もう少し確認しましょう」という意味です。

  • 健診の目的は「疾病の早期発見と早期支援」です。子どもを選別する仕組みではありません1。当日の緊張や環境の影響も大きく、1回の健診だけで結論は出ません
  • 「経過観察」は放置の指示ではありません。絵本の読み聞かせなど日常の関わりを続けながら、保健センターへの相談も組み合わせてください
  • 再検査・紹介状が出たら、早めに動いてください。発達外来の初診は数か月待ちになることが多く、3歳ごろは弱視などを見つけられる大切な時期です。視力・聴力の指摘は、指示どおり眼科・耳鼻科を受診してください

それでは、各健診で実際に何を見ているのか、項目ごとに整理していきます。

健診は「選別」ではなく「早期支援の入り口」

まず押さえておきたい前提があります。健診でひっかかることは、決して珍しくありません。3歳児健診では、およそ4人に1人(20〜30%程度)が何らかの指摘を受けるとされています1

📋 エビデンス

厚生労働省の「乳幼児健康診査事業 実践の手引き」では、健診の目的を「疾病の早期発見と早期支援」と明記しています。子どもを選別するためではなく、気になる点があれば早めにサポートにつなぐための仕組みです1

出典: ↗

「ひっかかった=問題がある」ではなく「もう少し確認しましょう」という意味です。当日の緊張・体調・初めての場所という環境要因で、普段できていることができない子はたくさんいます。

知育玩具を使った日常の遊びが、その後の発達を支えることもあります。月齢に合う玩具選びに迷う場合は、プランナーが選定してくれる定額レンタルという選択肢もあります。


1歳半健診で何を見ているか

1歳半健診(正式名称:1歳6か月児健康診査)は母子保健法で全市区町村に義務付けられています。主な確認項目は次の4つです。

指差し — 「共同注意」があるかを見ている

「ワンちゃんどこ?」と絵本を見せたとき、子どもが指で示せるかどうかを確認します。単に指が向いているかではなく、指差したあと大人の顔を振り返って確認するか、つまり「共同注意」が育っているかを見ています。

共同注意とは、自分が注目しているものを他者と共有しようとする能力のこと。コミュニケーションの基礎となる能力で、言語発達とも深く関わります。指差しそのものが完璧でなくても、視線でやりとりができていれば評価は変わります。

外来でも「健診では指差ししなかったけど、家ではするんです」という声はよく聞きます。そのときは、ふだんの動画を撮っておいて見せてもらうのが一番助かります。

積み木 — 手指の巧緻性と模倣を見ている

積み木を2〜3個積めるかを確認します。これは「手指を精密に使えるか」と「大人の動作を見て真似できるか(模倣)」の両方を見るための課題です。

積み木を積むこと自体が好きでない子や、日常的に積み木で遊んでいない子は、健診でいきなり言われてもやらないことがあります。日頃から積み木・ブロック・シェイカーなど手指を使う遊びを取り入れておくと、健診での様子も安定しやすくなります。

発語 — 「意味のある言葉」が基準

「意味のある言葉(有意語)が1語以上あるか」を確認します。「ママ」「ワンワン」「マンマ」など、同じ対象に同じ言葉を使っていれば有意語です。喃語(バブバブ)は含みません。

1歳半時点で有意語が0〜2語の場合は経過観察や相談を勧められることがあります。ただし、理解(こちらの言葉がわかっているか)や指差し・視線が育っていれば、言葉は後から追いつくケースも多いです。発語の数だけで判断せず、総合的に見ることが大切です。

歩行 — 神経発達・筋力・バランスを確認

ひとりで安定して歩けるかを確認します。生後9〜18か月の範囲内での歩き始めが正常とされていますが、1歳半時点ではほぼ全員が歩いている状態が目安です2。歩行パターン(つま先立ち・極端な内股など)も観察されます。


3歳児健診で何を見ているか

3歳児健診(正式名称:3歳児健康診査)は、心身の発達がより複雑になる時期の確認です。

会話 — 「やりとり」の質を見ている

「お名前は?」「今日は誰と来たの?」といった簡単な質問に答えられるか確認します。単語が出ていても会話のキャッチボールが成り立たない場合、言語理解やコミュニケーションの発達について詳しく確認されます。

2語文(「ワンワン、いた」)が2歳頃、3語文(「パパ、くつ、はく」)が3歳頃の目安とされています1。3歳時点で単語のみ、または会話が一方的になりやすい場合は相談の対象になります。

視力・聴力 — 事前検査が鍵

3歳児健診では、事前に自宅で行う視力検査・聴力検査があるのが特徴です。絵を使ったランドルト環(Cの形の輪)で視力を、生活音などを使ったアンケートで聴力を確認します。

自宅での検査がうまくいかなかった場合は、健診会場で再検査が行われます。3歳は弱視の発見に重要な時期で、治療の適切な時機があります。視力・聴力の指摘を受けた場合は、必ず眼科・耳鼻科を受診してください。

社会性 — 集団参加・他児との関わりを確認

他の子どもへの関心、ごっこ遊びができるか、簡単なルールの遊びに参加できるかを確認します。特に自閉スペクトラム症(ASD)の特性として、相互的なやりとりの難しさがこの時期に確認されやすくなります。

排泄 — 生理的な成熟の確認

昼間のおむつが外れているかどうかを確認します。3歳頃が目安ですが、個人差が大きく、3歳でまだおむつの子は多くいます。排泄の問題よりも、子どもが「したい」と感じて伝えられるかのコミュニケーション能力が合わせて確認されます。


「経過観察」と言われたあとの具体的な過ごし方

「様子を見ましょう」と言われて帰ってきたとき、何もしないことが正解ではありません。次の健診や相談までの間にできることがあります。

日常の関わりで大切なこと

まず、「できないことを練習させる」よりも「楽しく関わる時間を増やす」ことを意識してください。共同注意を育てる遊びは、特別なトレーニングではなく、日常のやりとりの中にあります。

絵本の読み聞かせは特におすすめです。「これなあに?」と聞きながら一緒に指さすだけで、共同注意の練習になります。積み木やパズルも、大人が先に見せて子どもが真似するという流れを意識してみてください。

  • 名前を呼んで目が合ったら、にっこりして反応する(呼名への応答)
  • 公園など他の子どもと同じ空間で過ごす機会を増やす

「意識してやらなくていい、いつもの遊びを一緒に楽しむだけでいい」とお伝えすると、少し楽になる親御さんが多い印象です。

保健センターに相談する

経過観察の場合、市区町村の保健センターで発達相談を受けられます。保健師が月齢・発達の状況をフォローしてくれますし、必要に応じて発達外来や療育センターへの紹介をスムーズにしてもらえます。「また何かあれば」ではなく、積極的に使ってください。

記録を残す

ふだんの様子をスマートフォンで短い動画に残しておくことをお勧めします。「家ではできているのに健診では見せられなかった」というケースは本当に多く、動画が一番正確に伝わります。


再検査・紹介状が出た場合のフロー

経過観察よりもう一歩進んで「精密検査」や「専門機関への紹介」が出た場合の流れです。

紹介先の種類と役割

紹介先主な目的
かかりつけ小児科健診後の最初の相談・必要時に専門機関へ紹介
発達外来(総合病院・専門クリニック)発達検査・診断・療育の指示
療育センター / 児童発達支援事業所個別・集団での発達支援
眼科視力精密検査・弱視治療
耳鼻科 / 聴覚センター聴力精密検査・補聴器相談
言語聴覚士(ST)外来言語発達・コミュニケーションの評価・訓練

受診が決まったら

発達外来の初診は数か月待ちになることが多いのが現実です。紹介状をもらったら早めに予約を入れてください。待機中も、保健センターや市の相談窓口を活用できます。診断が出ていなくても、地域によっては児童発達支援を利用できるケースもあります。

初診では「いつ頃から気になったか」「家での様子」「健診での指摘内容」を簡潔にまとめておくと、スムーズです。母子健康手帳を必ず持参してください。


Q&A

Q1. 1歳半健診で指差しができなかった。発達障害の可能性が高いですか?

指差し単独で判断することはしません。理解の深さ、視線でのやりとり、模倣の有無、応答性など複数の要素を合わせて見ます。当日の緊張や初めての環境の影響も大きく、1回の健診だけで結論は出せません。気になる場合は、かかりつけの小児科に早めに相談するのが一番です。関連記事「子どもの発達が気になったら」も参考にしてください。

Q2. 「経過観察」と言われました。何もしなくていいのですか?

放置の指示ではありません。日常の遊びの中で共同注意・模倣・言語刺激を意識しつつ、保健センターへの定期相談を活用してください。次の健診で再確認するというステップです。「経過観察=問題がない確定」ではないので、気になることが増えたら待たずに動いてください。

Q3. 3歳児健診の視力・聴力検査が上手くできませんでした。受診が必要ですか?

自宅の事前検査でうまくいかない場合は健診会場で再検査が行われます。それでも結果が出にくい場合、眼科・耳鼻科への紹介となります。3歳は弱視の発見と治療に大切な時期です。指示通りに受診することを強くお勧めします。


まとめ

「ひっかかった」は終わりではなく、次の一手への入り口です。

1歳半健診と3歳児健診が見ているのは、子どもの今の状態だけでなく、支援が必要な場合に早くつなぐための手がかりです。指差し・積み木・発語・歩行、会話・視力聴力・社会性・排泄——これらの項目は、それぞれ子どもの発達のどこかを映しています。

経過観察を言われたら、日常の関わりと保健センターへの相談を組み合わせてください。再検査・紹介状が出たら、早めに動くことが大切です。「様子を見ながら何もしない」ではなく、「動きながら見守る」が正解です。

言語発達に絞った詳しい情報は「ことばの発達 — 年齢別の目安と「遅れ」が気になるとき」を、2歳前後の言葉の遅れについては「2歳で言葉が少ない — 「様子を見ていい」と「急いで受診」の境界線」も合わせてご覧ください。

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参考文献

  1. 厚生労働省「乳幼児健康診査事業 実践の手引き」(平成29年度) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520614.pdf 2 3 4 5

  2. 国立成育医療研究センター「改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」 https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/shinsatsu_manual.pdf

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